テストNo.331 リポビタンDツアー2016 日本代表欧州遠征 第2戦 ウエールズ代表戦

English 写真 機関誌
平成28年(2016)11月19日 G:カーディフ R:マリウス・ファンデルヴェストハイゼン(SA)
日本代表 30-33 ウエールズ代表
No.570★331 リポビタンDツアー2016 欧州遠征2016 第2戦 ウェールズ代表
2016年11月19日 G:カーディフ R:マリウス・ファンデルヴェストハイゼン(SA)
日本代表30-33ウェールズ代表
1仲谷 聖史(ヤマハ)13141ニッキー・スミス
2堀江 翔太(パナソニック)17192スコット・ボルドウィン
3畠山 健介(サントリー)3サムソン・リー
4梶川 喬介(東芝)1T24コーリー・ヒル
5アニセ サムエラ(キヤノン)1G25アラン=ウィン・ジョーンズ
6マルジーン・イラウア(東芝)2PG06ダン・リディエイト
7布巻 峻介(パナソニック)0DG0C7サム・ウォーバートン
8アマナキ・レレィ・マフィ(NTTコム)8ジェームズ・キング
9田中 史朗(パナソニック)2T19ロイド・ウィリアムズ
10田村  優(NEC)2G110ガレス・アンスコム
11福岡 堅樹(パナソニック)1PG311アレックス・カスバート
C12立川 理道(クボタ)0DG112ジェイミー・ロバーツ
13ティモシー・ラファエレ(コカ・コーラ)13ジョナサン・デーヴィス
14山田 章仁(パナソニック)9714リー・ハーフペニー
15松島 幸太朗(サントリー)15リーアム・ウィリアムズ
交代【日】山本幸輝(ヤマハ)①、伊藤平一郎(ヤマハ)③、ヘル ウヴェ(ヤマハ)⑤、日野剛志(ヤマハ)②、松橋周平(リコー)⑦、三村勇飛丸(ヤマハ)⑥、アマナキ・ロトアヘア(リコー)⑭、内田啓介⑨ 【ウ】ガレス・デーヴィス⑨、ジェイク・ボール④、サム・デーヴィス⑩、リース・ギル①、スコット・アンドリュース③  シンビン=リーアム・ウィリアムズ(ウ)
得点:T福岡、山田、ロトアヘア、G田村2、ラファエレ、PG田村3

 遠征第2戦のウエールズ戦は会場のプリンシパリティ・スタジアムに約7万4000人の大観衆が集い、日本ラグビー史上最多観客の前でのプレーとなった。ウエールズの強力スクラムに圧倒される場面もあったが、日本代表はSO田村優のPGで僅差勝負に持ち込み、後半30分すぎ、交代出場のアマナキ・ロトアヘアが右中間にトライをあげ、ゴールも決まって、30-30の同点に追い付く。最終的にはウエールズのサム・デーヴィスにドロップゴールを決められて敗れたが、攻守に新システムが機能しての好勝負だった。
 カオスへのチャレンジは、試合開始と同時に始まった。キックオフ後の相手の蹴り返しを、日本はSO田村がハイパントで蹴り返し、WTB山田がチェイス。ボールを確保するとさらにキック。一連のシリーズでトライは挙げられなかったが、目まぐるしく変転するゲームの様相に、ドラゴンたちは落ち着きを失う。4分、SO田村が先制PGを決める。7分には、キックを追った山田に、相手FBリーアム・ウィリアムズがオブストラクションでイエローカード。田村がすぐさま2本目のPG。
 ウエールズも黙ってはいない。スクラムを強引に押し込み、PKを得ては前進し、パワーとサイズでプレッシャーをかける。10分にFLダン・リディエイト、22分はCTBジェイミー・ロバーツがトライラインに到達。ウエールズ14-6日本。次のキックオフを待つスタジアムに、大音量で国民歌『ランド・オブ・マイファーザーズ』が流れる・・・だがそんな、7万観衆の心地良い時間は長く続かなかった。
 前半37分、布巻のタックルでコントロールを失わせたボールをすかさず山田が拾い、自陣から60mを切り返す早業トライで1点差に迫る。11点差に広げられた後半14分には、敵陣でのプレス防御でボールを奪うとFLヘル ウヴェ、LO梶川喬介、FL布巻が次々と前進、最後はHO堀江翔太、FLマルジーン・イラウアのFW陣も加わった凸凹ラインで、WTB福岡が左隅を攻略して4点差に。
 ウエールズが7点差にして逃げ切りを図った後半33分には、立川のタックルで得たターンオーバーから松島がカウンターをかけ、右サイドを突破してマフィから、絶妙のノールック・オフロードパスが途中出場のWTBアマナキ・ロトアヘアへ通り、右隅へ。3トライはすべて、相手のアタックにプレスをかけ、パニックを起こさせ、ボールコントロールを狂わせたところからはじまった。
 残り5分。30-30の同点。ミレニアム・スタジアム改めプリンシパリティ・スタジアムにいた7万人の動悸が聞こえてくる。だが最後の時間に勝ち越すことはできなかった。自陣に攻め込まれたピンチから、途中出場のFL松橋周平のターンオーバーを起点にハーフウェー付近まで陣地を戻したが、その後の攻防で再度ボールを献上してしまう。逆にウエールズは、この試合で最高の集中力を発揮した。反則を犯さずにフェイズを重ね、じわじわと陣地を前に進め、残り10秒まで時間を費やした上で、途中出場のSOサム・デーヴィスがさよならDGを蹴り込んだ。5か国対抗の時代から、この手の接戦、ファイナルミニッツの戦いは身に染みついているのだーそんな呟きが聞こえてきそうだった。
 30-33。アウェーでの金星はならず・・・。落胆する赤白のジャージィに、7万4000人が、思い出したように拍手を贈る。
「残念だ。ビッグゲームに勝つチャンスだった。だけど、選手はチームのゲームプランとチームメイトを信じて戦ってくれた」就任3戦目で、世界ラグビー最古豪の一角を追い詰めたジョセフHCはそう選手をたたえた。