平成29年(2017)5月6日 G:秩父宮 R:ティム・ベイカー(HK)
No.574★335 アジアチャンピオンシップ2017 第3戦 香港代表戦 | ||||||
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2017年5月6日 G:秩父宮 R:ティム・ベイカー(HK) | ||||||
日本代表 | 29 | - | 17 | 香港代表 | ||
1 | 石原 慎太郎(サントリー) | 12 | 前 | 10 | 1 | ベンジャミン・ヒギンズ |
2 | 坂手 淳史(パナソニック) | 17 | 後 | 7 | C2 | ベンジャミン・ロバーツ |
3 | 知念 雄(東芝) | 3 | ディラン・ロジャース | |||
4 | 小瀧 尚弘(東芝) | 2 | T | 1 | 4 | ジェイムス・カニンガム |
5 | アニセ サムエラ(キヤノン) | 1 | G | 1 | 5 | エイドリアン・グリフィス |
6 | マルジーン・イラウア(東芝) | 0 | PG | 1 | 6 | フィリップ・ホイットフィールド |
7 | 金 正奎(NTTコム) | 0 | DG | 0 | 7 | トビー・フェン |
8 | 松橋 周平(リコー) | 8 | ダニエル・ファルベイ | |||
9 | 茂野 海人(NEC) | 3 | T | 1 | 9 | ジェイミー・フッド |
10 | 松田 力也(パナソニック) | 1 | G | 1 | 10 | マシュー・ロスリー |
11 | 尾崎 晟也(帝京大) | 0 | PG | 0 | 11 | セバスチャン・アルフォンシ |
C12 | 立川 理道(クボタ) | 0 | DG | 0 | 12 | レックス・カレイザ |
13 | 鹿尾 貫太(東海大) | 13 | タイラー・スピッツ | |||
14 | 山田 章仁(パナソニック) | 10 | 反 | 7 | 14 | ユ・カム・シン |
15 | 野口 竜司(東海大) | 15 | ローワン・バーティー | |||
交代【日】堀江翔太(パナソニック)②、小澤直輝(サントリー)⑦、渡邉隆之(神鋼)③、流大(サントリー)⑨、谷田部洸太郎(パナソニック)④、徳永祥尭(東芝)⑥、三浦昌悟(東海大)①、山沢拓也(パナソニック)⑧ 【香】トーマス・:ランボレイ⑥、ジェイミー・ツァン②、アレックス・ン③、カイル・サリヴァン⑤、カドー・リー⑮、アンガス・ディクソン①、アラステア・マクレイ⑫、ロバート・キース⑩ シンビン=アニセ(日) | ||||||
得点:T松橋、立川、山田2、堀江、G松田2 |
5月6日に秩父宮ラグビー場でおこなわれたアジア・ラグビーチャンピオンシップ第3戦、対香港は29-17。勝者にとっては手放しで喜べる内容ではなかった。それでも試合後のジェイミー・ジョセフHCは穏やかだった。
4月22日の韓国戦。同HCは47-29と勝ったものの、5トライを許したことに対し、「チャンスが何度もあると思ってはいけない」と厳しさを打ち出した。しかしこの試合後に声を荒げることがなかったのは、タフなゲーム展開にも選手たちがパニックになることなく、自分たちの力で軌道修正したところを評価したからだ。
ジョセフHCが穏やかだったのは記者会見場だけでなく、試合後のロッカールームでも変わらぬ態度だった。この日CTB鹿尾貫太が初キャップを手にしたことを祝おうとみんなに呼びかけ、FLも経験したルーキーを称えた。2週間前にキツく言った言葉を何度も言わない。前週、韓国との第2戦で前進した(80-10)チームはこの日ふたたび停滞したように見えたが、ジョセフHCは「必要だった試合」と表現した。「選手たちは、このレベルではどのような力量が必要かを知ったでしょう。でも、こういう展開になっても乱れなかったことを評価したい。リーダーたちを中心に、自分たちがやるべきことを取り戻したことを嬉しく思います」
前半2分、相手キックを受けたところからSO松田力也がカウンターアタックで好走。その後の右展開からCTB鹿尾が蹴ったグラバーキックをNO8松橋周平が押さえた。先制点を奪うも、その後は攻勢にまわっても香港の圧力にミスと反則を重ねてしまった。その後の約60分は、香港が主役だった。この日が今季初戦の相手は前半17分にPGを返すと、その8分後にはラインアウトから見事にムーヴを決める。ブラインドサイドからWTBユ・カム・シンをSOマシュー・ロスリーの内側に走らせていっきにインゴールへ。前半終了間際にはジャパンにトライを許すも(WTB山田章仁)、後半16分、スクラムからまたもブラインドWTBを入れる。防御を後退させておいて右に展開し、CTBテイラー・スピッツが右中間に入った。
後半20分までに17-12とリードされたジャパンだったが、そこから、特にベテラン勢がゲームを落ち着かせた。それに若手が続いた。22分、2月のチャリティーマッチで痛めた膝の怪我も癒えて復帰したCTB立川理道が思い切り前に出るのに合わせ、アウトサイドの鹿尾が好タックル。相手がこぼしたボールをつなぎ。WTB山田が同点トライを挙げた。
勝ち越しのトライは後半28分、ラインアウトからFWで前進し、一連のアタックで2度ボールを手にしたHO堀江翔太がSH流大の動きに呼応してインゴールに入った。37分にはCTB立川もトライを決めた。
初陣で勝利に貢献した鹿尾は「むしろ、あのタックルだけでした」と80分を振り返った。攻守に戸惑うシーンも何度かあった。
先制トライをはじめ、要所でターンオーバーするなどよく働いた松橋は、「プレッシャーを受けた試合でしたが、自分たちが立ち返るところはどこかを冷静に考えて戦えたと思います」と話した。自分たちのシェイプをしっかり作る。しっかりリロードする。うまく前に出られなかったらキックを使う。タイトファイブが疲れないように戦う。それらのことを確認し合いながら戦った。(ラグビーマガジン2017年7月号より抜粋)