テストNo.338 リポビタンDチャレンジ2017 第2戦 アイルランド代表戦

English 写真 機関誌
平成29年(2017)6月17日 G:静岡エコパスタジアム R:マリウス・ファンデルヴェストハイゼン(SA)
日本代表 22-50 アイルランド代表
No.577★338 リポビタンDチャレンジ2017 アイルランド代表第3回来日 第1戦 
2017年6月17日 G:静岡エコパスタジアム R:マリウス・ファンデルヴェストハイゼン(SA)
日本代表22-50アイルランド代表
1稲垣 啓太(パナソニック)3311キアン・ヒーリー
C2堀江 翔太(パナソニック)19192ニール・スカネル
3伊藤 平一郎(ヤマハ)3ジョン・ライアン
4谷田部 洸太郎(パナソニック)0T44クイーン・ルー
5ヘル ウヴェ(ヤマハ)0G45デビン・トナー
6リーチ マイケル(東芝)1PG1C6リース・ラドック
7徳永 祥尭(東芝)0DG07ダン・リーヴィー
8アマナキ・レレィ・マフィ(NTTコム)8ジャック・コナン
9田中 史朗(パナソニック)3T39ルーク・マグラス
10田村  優(キヤノン)2G210パディー・ジャクソン
11福岡 堅樹(パナソニック)0PG011キース・アールズ
12デレック・カーペンター(サントリー)0DG012ローリー・スカネル
13ウィリアム・トゥポウ(コカ・コーラ)13ギャリー・リングローズ
14松島 幸太朗(サントリー)8814アンドリュー・コンウエイ
15野口 竜司(東海大)15シモン・ジボ
交代【日】石原慎太郎(サントリー)①、ツイ ヘンドリック(サントリー)⑧、庭井祐輔(キヤノン)②、松橋周平(リコー)⑤、流大(サントリー)⑨、浅原拓真(東芝)③、松田力也(パナソニック)⑩、山中亮平(神鋼)⑫ 【ア】ティルナン・オハロラン⑮、ジェイムズ・トレーシー②、デイヴ・キルコイン①、キーラン・トレッドウェル⑤、フィンレイ・ビーラム③、ローリー・オラフリン⑩、キーラン・マーミオン⑬、ジャック・オドノヒュー⑧  シンビン=伊藤(日)、コンウエイ(ア)
得点:T野口、福岡、流、G松田2、PG田村

 アイルランドとの第1戦では相手の強い圧力にミスと反則が重なり、ティア1国の底力を見せつけられる形で完敗を喫した。
 キックオフ。序盤はプラン通りにSH田中史朗が防御背後へのキックを繰り返す。最初のトライチャンスはアイルランドSOバディー・ジャクソンにPGで先制された(前半6分)直後だった。FLリーチ マイケルが相手のミスボールを拾って前進し、SO田村優が無人のアイルランド・ゴール左コーナーに向かってキックを蹴り込む、27,318人の大歓声の中でCTBウィリアム・トゥポウがこれを追う。ゴールライン直前で懸命に戻った選手を捕まえるも、アイルランドが4人、5人と次々に現れ、ボールをキープされてしまう。直後の前半11分、ハーフウェイライン付近の日本ボールスクラムで圧力を受けると、NO8ジャック・コナンに抜け出され、WTBキース・アールズにトライを奪われる。14分、田村優のPGで3点を返した日本は、16分、田村が地面を這うキックを右コーナーに蹴り込み、再びトゥポウがタックル。ゴールライン直前でのラックとなるが、日本側がオフサイドの反則で2つ目のトライチャンスをつぶした。24分日本はゴールラインに迫られたラックでPR伊藤平一郎が倒れながら手を使ったとしてシンビン(一時退場)。14人となった10分間に3つのトライを奪われてしまう。組織防御で圧力をかけられず、必然的に個々のタックルも甘くなる悪循環だった。
 プラン通りにチャンスを作りながら、トライが取れない展開をジェイミー・ジョセフHCは険しい表情で見ていた。「何がなんでもボールを獲る貪欲さが足りない」。日本がボールを出せばチャンスが広がるボール争奪局面ではことごとくアイルランドがボールを確保した。危機管理能力、規律、反応スピードは見習わなくてはいけない。その紙一重の差がスコアに大きく表れた。「いい形は作れているのに、自分たちの反則、ミスでチャンスをつぶしています。後半は反則を減らさなければ」(稲垣啓太)
 3-31で迎えた後半、日本代表は反則を減らし、タックルの精度を高め、反撃に出る。後半の立ち上がりから突破力のあるNO8ツイ ヘンドリックを投入し、HO庭井祐輔、FL松橋周平、SH流大らフレッシュな選手がスピーディーに動いてチャンスを作り、19分、FB野口竜司が防御の乱れを見逃さずにステップとハンドオフで2人のタックラーを外してインゴール右中間にトライをあげた(10-38)。野口は相手キックに対するフィールディング、ディフェンスも安定しており、その存在感は試合を重ねる度に高まっている。数分後もったいないシーンがあった。連続攻撃を仕掛けて目の前のディフェンダーを減らしながらCTBディレク・カーペンターが相手の待ち構える場所にキックをしてしまい、その後の攻防でトライを与えてしまった。ここでトライを奪っていれば、最終スコアも僅差だっただろう。
 ジェイミー・ジャパンが目指すキック戦略には的確な判断が求められる。このシーン以外にも疑問符の付くキックは多く、キック後、ボールを奪い返すためのディフェンスも甘かった。圧力を受けたスクラムも含め、課題は山積みしている。
 アイルランドは、体格で上回りながら、力ずくの攻めではなく、ラインアウトからのサインプレーで2トライするなど、全てが理詰めだった戦略・戦術の浸透度も日本とは大きな差があった。(ラグビーマガジン2017年8月号より抜粋)