テストNo.354 ラグビーワールドカップ2019 プールA第2戦 アイルランド代表戦

English 写真 機関誌
令和元年(2019)9月28日 G:エコパスタジアム R:アンガス・ガードナー(AUS)
日本代表 19-12 アイルランド代表
No.593★354 ラグビーワールドカップ2019 プールA第2戦 アイルランド代表
2019年9月28日 G:エコパスタジアム R:アンガス・ガードナー(AUS)
日本代表19-12アイルランド代表
1稲垣 啓太(パナソニック)9121キアン・ヒーリー
2堀江 翔太(パナソニック)100C2ロリー・ベスト
3具  智元(ホンダ)3タイグ・ファーロング
4トンプソン ルーク(近鉄)0T24イアン・ヘンダーソン
5ジェームス・ムーア(サニックス)0G15ジェームス・ライアン
6姫野 和樹(トヨタ)3PG06ピーター・オマホニー
C7ピーター・ラブスカフニ(クボタ)0DG07ジョシュ・バンダーフリアー
8アマナキ・レレイ・マフィ(NTTcom)8CJ・スタンダー
9流 大(サントリー)1T09コナー・マレー
10田村  優(キヤノン)1G010ジャック・カーティ
11レメキ ロマノラヴァ(ホンダ)1PG011ジェーコブ・ストックデール
12中村 亮土(サントリー)0DG012クリス・ファレル
13ラファエレ ティモシー(神戸製鋼)13ギャリー・リングローズ
14松島 幸太郎(サントリー)6914キース・アールズ
15山中 亮平(神鋼)15ロブ・カーニー
交代【日】リーチ マイケル(東芝)⑧、福岡堅樹(パナソニック)⑮、ヴァル・アサエリ愛(パナソニック)③、田中史明(パナソニック)⑨、中島イシレリ(神鋼)①、ヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモ)④ 【ア】デービッド・キルコイン①、リース・ラドック⑥、ジョーイ・カーベリー⑩、ショーン・クロニン②、アンドルー・ポーター③、ジョーダン・ラーマー⑫、タイグ・バーン④、ルーク・マグラー⑮
得点:T福岡、G田村、PG田村4

 日本代表のFWはスクラムを中心に本当に強くなった。またDFに関しても、アイルランドFWの強力な縦突進をダブルタックルでことごとく止めた。この日は、アンストラクチャーを狙うキックを封印し、4年前と同じような展開ラグビーに徹し、それがアイルランドのスタミナを大きく削る結果となった。奪われたトライについても、自陣でレフリーの手が上がったアドバンテージ後に上げられたパントからのものが二つであり、FWの縦突進、BKの展開などから崩されたものではなかった。
 前半の20分で3-12となったが、何とその後はアイルランドの得点をシャットアウトしたのだ。FWの踏ん張りとBKの好タックルにこたえるべく、SOの田村がPGを重ね、9-12で前半を終了した。
 後半に入っても、スタミナ十分の日本代表に対して、予想外の展開ラグビーでスタミナを削られたアイルランド・フィフティーには疲労感がにじみ出ていた。迎えた58分、セットスクラムからSH田中が左サイドへ持ち込み、中村亮土が縦に突進しゲインラインを突破。そこから連続でラックを連取し、FWが縦突進を繰り返し、アイルランドDFを中央に寄せる形となった。敵陣ゴール前中央で姫野、ヴァルアサエリ愛の突進の後、SH田中は左サイドの中村亮土へパス。そこで中村は縦突進ではなく、左サイドへ飛ばしパス。ボールを受けたCTBラファエレは、最終マークのDFを引き付けWTB福岡へフローパス。ノーマークの福岡はインゴールへ飛び込み、田村のコンバージョンも決まって16-12と逆転した。
 その後、再逆転を狙うアイルランド日本ゴール前へボールを運び、縦突進を繰り返した。この猛攻をダブタックル連発でしのぎ、姫野の執念のジャッカルによりピンチを脱し、さらに福岡のインターセプトから敵陣ゴール前へボールを運んだ。その後は日本代表FWのスクラムとSH田中の巧みな動きによって時間を稼ぎ、最後は、引き分けをあきらめ、ボーナスポイント(7点差位以内)の1点を選択したアイルランドのタッチキックでノーサイドとなった。アイルランド日本の強さを認めた象徴的シーンであった。
 試合を決めたポイントは、前半35分のアイルランドボールのスクラムを8人が一塊になって押し切り、PKを得たFWのスクラムと、逆転後のアイルランドの猛攻をダブルタックルで凌ぎ、最後は姫野のジャッカルでPKを得たことである。普段温厚な具智元のガッツポーズと、試合後の稲垣の涙を見た時、どれだけのスクラム練習をこなし、どれだけの思い入れを持って試合に臨んでいたかが理解できた。またジャッカル成功後に叫ぶ姫野の健闘を労う選手たちの姿を見た時、「ワンチーム」を実感できた。
 エコパ・スタジアムを埋めた日本代表サポーターの応援がこれらを後押ししたことは間違いない。異様な雰囲気の中での歴史的勝利だった。