令和5年(2023)9月10日 G:トゥールーズ(フランス) R:ニック・ベリー(オーストラリア)
○日本代表 42-12 チリ代表●
対戦日 | 2023/09/10 (日) | Kick off | 20:00 |
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競技場 | Le Stadium(トゥールーズ) | 観客数 | -- |
天候 | 晴れ/無風 | グラウンド 状態 | 良い |
ドクター | |||
記録係 | JRFU広報 |
レフリー | Nic Berry(RA) | sign |
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アシスタントレフリー |
Karl Dickson (RFU) Andrea Piardi(FIR) |
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マッチコミッショナー | sign | |
TMO | Tom Foley(RFU) |
日本代表 | ||
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# | Name(cm/kg/Age) 所属 |
Pos. |
1 |
稲垣啓太(186/116/33) 埼玉パナソニックワイルドナイツ
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FW |
2 |
坂手淳史(180/104/30) 埼玉パナソニックワイルドナイツ
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|
3 |
具智元(183/118/29) コベルコ神戸スティーラーズ
|
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4 |
サウマキアマナキ(189/108/26) コベルコ神戸スティーラーズ
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5 |
アマト・ファカタヴァ(195/118/28) リコーブラックラムズ東京
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6 | リーチマイケル(189/113/34) | |
7 |
下川甲嗣(188/105/24) 東京サントリーサンゴリアス
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8 |
ジャック・コーネルセン(195/110/28) 埼玉パナソニックワイルドナイツ
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9 |
流大(166/75/31) 東京サントリーサンゴリアス
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HB |
10 |
松田力也(181/92/29) 埼玉パナソニックワイルドナイツ
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11 | ジョネ・ナイカブラ(177/95/29) | TB |
12 |
中村亮土(181/92/32) 東京サントリーサンゴリアス
|
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13 |
ディラン・ライリー(187/102/26) 埼玉パナソニックワイルドナイツ
|
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14 |
松島幸太朗(178/88/30) 東京サントリーサンゴリアス
|
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15 |
セミシ・マシレワ(181/93/31) 花園近鉄ライナーズ
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FB |
16 |
堀江翔太(180/104/37) 埼玉パナソニックワイルドナイツ
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Re. |
17 |
クレイグ・ミラー(186/116/32) 埼玉パナソニックワイルドナイツ
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18 |
ヴァルアサエリ愛(187/115/34) 埼玉パナソニックワイルドナイツ
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19 | ワーナー・ディアンズ(201/117/21) | |
20 |
福井翔大(186/101/23) 埼玉パナソニックワイルドナイツ
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21 |
齋藤直人(165/73/26) 東京サントリーサンゴリアス
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22 |
長田智希(179/90/23) 埼玉パナソニックワイルドナイツ
|
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23 |
レメキロマノラヴァ(178/96/34) NECグリーンロケッツ東葛
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※背番号の白抜きはキャプテン
チリ代表(RWC2023) | ||
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# | Name(cm/kg/Age) 所属 |
Pos. |
1 |
ハビエル・カラスコ(176/114/26) Old Redlander's
|
FW |
2 |
ディエゴ・エスコバル(176/103/23) COBS
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|
3 |
マティアス・ディトゥス(181/120.5/30) UC
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4 |
クレメンテ・サーベドラ(191/110/25) Old Boys
|
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5 |
ハビエル・アイスマン(200/118/26) UC
|
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6 |
マルティン・シグレン(188/104.5/27) Old Boys
|
|
7 |
ライムンド・マルティネス(180/102/23) PWCC
|
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8 |
アルフォンソ・エスコバル(183/101/26) COBS
|
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9 |
マルセロ・トーレアルバ(170/81/27) Old Boys
|
HB |
10 |
ロドリゴ・フェルナンデス(178/85/27) COBS
|
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11 |
フランコ・ベラルデ(184/97/28) Vina Rugby Old Boys and Girls
|
TB |
12 |
マティアス・ガラフリク(184/95/23) COBS
|
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13 |
ドミンゴ・サーベドラ(181/94/25) Old Boys
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14 |
サンティアゴ・ビデラ(180/90/25) Old Boys
|
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15 |
イニャキ・アジャルサ(186/100/24) PWCC
|
FB |
16 |
アウグスト・ベーメ(175/102/26) UC
|
Re. |
17 |
サルバドル・ルエス(179/117/23) COBS
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18 |
イニャキ・グルチャガ(186/124/27) Old John's
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19 |
パブロ・ウエテ(200/119/34) Old Boys
|
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20 |
サンティアゴ・ペドレロ(194/115/22) COBS
|
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21 |
イグナシオ・シルバ(180/105/34) PWCC
|
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22 |
ルーカス・カルバジョ(180/86/22) PWCC
|
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23 |
ホセ・ラレナス(182/94/33) UC
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得点 | ||||
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Home | Away | |||
前半 | 後半 | 前半 | 後半 | |
3 | 3 | T | 1 | 1 |
3 | 3 | G | 1 | 0 |
0 | 0 | PT | 0 | 0 |
0 | 0 | PG | 0 | 0 |
0 | 0 | DG | 0 | 0 |
21 | 21 | 計 | 7 | 5 |
42 | 合計 | 12 |
マン・オブ・ザ・マッチ |
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アマト・ファカタヴァ |
反則 | ||||
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PK | FK | PK | FK | |
1 | 2 | 前半 | 6 | 0 |
5 | 1 | 後半 | 3 | 1 |
6 | 3 | 合計 | 9 | 1 |
Home 交替/入替
種類 | 時間 | 背番号 |
---|---|---|
入替 | 後半0分 | 3 → 18 |
入替 | 後半10分 | 7 → 20 |
入替 | 後半10分 | 2 → 16 |
入替 | 後半15分 | 4 → 19 |
入替 | 後半16分 | 15 → 23 |
入替 | 後半18分 | 1 → 17 |
入替 | 後半21分 | 9 → 21 |
入替 | 後半23分 | 11 → 22 |
Home 一時交替
時間 | 背番号 | 内容 |
---|
Away 交替/入替
種類 | 時間 | 背番号 |
---|---|---|
入替 | 後半15分 | 1 → 17 |
入替 | 後半16分 | 5 → 20 |
入替 | 後半16分 | 11 → 23 |
入替 | 後半18分 | 2 → 16 |
入替 | 後半18分 | 7 → 21 |
入替 | 後半21分 | 15 → 22 |
入替 | 後半25分 | 4 → 19 |
入替 | 後半28分 | 3 → 18 |
Away 一時交替
時間 | 背番号 | 内容 |
---|---|---|
前半29分 → 前半35分 | 11 → 18 | シンビン |
Home カード/処分
種類 | 時間 | 背番号 | 内容 |
---|---|---|---|
イエロー | 後半7分 | 13 | 不当なプレー |
Away カード/処分
種類 | 時間 | 背番号 | 内容 |
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イエロー | 前半24分 | 3 | 危険なプレー |
イエロー | 前半38分 | 6 | 危険なプレー |
得点経過 前半Kick off : チリ代表(RWC2023) /後半Kick off : 日本代表
<特記事項>
前半6分TMO:チリ代表のトライ前のノックオン確認の結果、ノックオンはなくトライが認められた
前半24分TMO:危険なタックルの確認の結果認められ、チリ代表3番イエローカード
前半38分TMO:危険なタックルの確認の結果認められ、チリ代表6番イエローカード
後半7分TMO:故意のノックオンの確認の結果認められ、日本代表13番イエローカード
後半36分TMO:危険なタックルの確認の結果、ペナルティ
後半40分TMO:日本代表トライの確認の結果、トライ
「RWCは初戦が重要!」 前主将のリーチをはじめ選手たちは口々にそう言っていた。確かに前回大会RWC2019日本大会においても、初戦のロシア代表戦は相手が格下と言われながら、超満員のスタジアムで選手たちの緊張は頂点に達し、FBが普通のハイパントを落球してロシアに先制トライを献上してしまったのだ。そこは前回大会経験者8名を先発させ、何としても平常心で臨んでもらいたいところだ。
チリのキックオフで試合が始まる。コーネルセンがリフトされた状態でキックオフのボールを確保し流がハイパントを蹴る。南米独特のFWを中心とするフィジカルバトルで来ると思いきや、BKにも積極的に展開し、日本選手を振り切るようなスピードランナーもいる。アメリカに勝って予選突破をしてきただけのことはあり、決して侮ってはいけない相手だ。日本もよく前に出てDFをするが、6分チリ陣10m右のラックからチリは狭いプラインドサイドを攻め、FBが日本DF2人をかわして快走。内をフォローしたSHがパスを受け、日本陣22mラインを突破し追走したナイカブラのタックルを受け後方にボールを置いた。それをセーブに行った日本ライリーの足にあたり日本サイドにこぼれる。それをチリ10番がドリブルし、浮いたボールをキャッチしてインゴールへ飛び込む。チリ14番が簡単ではないGキックを決める(0-7)。サッカー人気エリアの南米の国々は例外なくキックがうまい。8分、日本はキックオフのボールをチリ陣22mまで蹴り込んだが、これをチリがノックオン。これをサウマキが拾ってラックをつくり、稲垣に突進させリーチが大きくゲインしてラック。流がタイミングを遅らせてパスをファカタヴァに送り、フリーとなったファカタヴァは快足を飛ばしてインゴールへ飛び込む。大会前のテストマッチではゴールキック不調だった松田がゴールのど真ん中を通して同点とする(7-7)。通常の攻撃では日本のタックルを浴びるだけと判断したチリは、SHが仕掛け他選手がそれに寄り突破するというプレーに出てくる。何回か連続攻撃を仕掛けられたが15分チリ3番の突進を具がタックルで倒し、坂手が見事にジャッカルを決めPKを得る。この日の日本は容易にPGを狙える位置でもタッチキックからのラインアウトを何度も選択。4トライ以上のボーナスポイント獲得を目指していることは明らかだ。24分具がこぼれ球を拾ってパスした後にチリ3番が悪質なレイトタックルをしてイエローカードが出る(今大会からバンカーシステムにより、イエローかレッドかの判定は試合を進行させる中で8分以内にTMOチームが決定する:3番はイエローと判定)。このPKをチリ陣左5mに見事に松田がタッチキックを蹴り、日本ボールのラインアウトとなる。しかしラインアウトを確保してモールでプッシュをかけるが、チリ5番に割られてボールを取られハーフウェー・ラインまで挽回される。日本のミスが続き日本陣左22m内にタッチを出されるが、マシレワがセット前に松島へパスをして、松島は自陣22m内からチリ陣22m左へ見事にタッチキックを蹴った(50-22により日本ボールラインアウト)。30分、チリ陣ゴール前左5mの日本ボールスクラムを押し込み、流がブラインドに持ち込みWTBナイカブラへパス。ナイカブラはDF二人掴まれながらもインゴールにボールをねじ込みトライ(松田が難しいGを決め14-7)。その後、両チーム追加点の入らぬまま迎えたロスタイムの41分、日本は、チリ陣左ゴール前5mにPKのタッチキックで出し、そのラインアウトでキャッチしたリーチが前列の下川へパスしモールを組む。これまで崩されていたモールをガッチリと組んで押し込み、最後はファカタヴァがインゴールへ飛び込み(松田の隅からのG成功で21-7)、前半終了。
後半開始から具に替えてヴァルを投入。先制点を取ってチリを突き放したい日本であるが、ハーフタイムでリフレッシュしたチリが食い下がり両チーム互角の攻防が続く。47分チリのラストパスをはじいたライリーのプレーがデリバレイト・ノックオン(相手のチャンスを潰す故意のノックオン)と判定され、イエローカードで日本は14人となる。48分日本陣に入ったチリは連続攻撃で日本ゴール前に迫り、ゴール前右のラックから左へ展開。大外へ蹴ろうとしたチリSOのキックを松田がチャージしたが、強くはじかれたボールがチリ15番の胸に偶然入り、ステップを巧みに踏みながら日本ゴール左へ迫る。ゴール直前でサウマキ、松田、稲垣の執念のタックルで何度かインゴールへの飛込みを防いだが、最後はチリ8番に飛び込まれトライを許した(チリ14番のG失敗で21-12)。50分日本は下川、坂手に替えて福井、堀江を投入。その後、ハーフウェー・ライン右のラックから流がチリ陣ゴール前に有効なキックを蹴り、チリ10番が蹴り返したボールをハーフウェー・ラインから日本がカウンターアタックを仕掛ける。マシレワからパスを受けたナイカブラが豪快に走り左サイドでフリーの中村へパスが通る。中村からのリターンパスは少し乱れたが、再度ナイカブラがキャッチして前進。ラックを形成してチリ陣ゴール前で連続展開攻撃を仕掛ける。53分この連続攻撃が奏功し、ヴァルから浮かしパスを貰った稲垣がゴール前3mまで食いこみ、そのラックから中村が寄り気味に縦に走り、その裏で流からパスを受けたリーチがゴールポスト直下へ飛込む(松田のGで28-12)。ボーナス・ポイントの獲得も決める。日本はサウマキ、マシレワに替えてワーナー、レメキを投入。この頃からチリの選手たちに疲労の色が見えだした。ウォーター・ブレイクの最中、及び以後、稲垣、流、ナイカブラに替わってミラー、齋藤、長田を投入。チリは展開攻撃を仕掛けつつ足がつる選手が出始めた。日本もキックでチリ陣に入ろうとするがキックが長すぎチリの巧みな処理によって膠着状態が続く。69分チリ陣10mラインを少し入った右のスクラムで、CTB長田が寄り気味に縦に走って齋藤のパスを受け、見事にゲインラインを突破し日本の連続攻撃のSWが入った。コーネルセン、リーチが続けて縦に突進してチリ陣ゴール前に迫り、PKを得た。71分PGを狙うかと思われたが、日本はスクラムを選択。強烈に押し込んだ後、齋藤が左へ引っ張り、先ほどはダミーとなった中村が今度はクロスのような形で縦に走り込み一人をかわしてインゴールへ飛び込む(松田のGで35-12)。FWのスクラム・プッシュで、チリのバックローが全く動けない状況を作ったことが勝因である。その後チリ陣ゴール前右での、チリボールのラインアウトの乱れからキャリーバックとなり、80分日本はチリ陣右隅の5mスクラムをプッシュして齋藤の横にブラインドWTB松島を入れて、ゴール直前に迫り、福井の突進の後、この日、21歳でRWC初出場のワーナーが持ち前のサイズとパワーでボールをインゴールへねじ込みトライ(松田6本目のGを決め42-12)。ゴールの後フルタイムとなる。ワーナーのトライは、一度グラウンディングされていないと判定されたが、TMO判定の結果、明らかにダウンボールされておりトライが認められた。今後、日本代表FWの核として、スター選手に駆け上がっていくことを期待されるワーナーの見事なRWC初トライであった。