解題・説明
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棟札に天保14年(1843)の建立とあり、本殿(ほんでん)、幣殿(へいでん)、拝殿(はいでん)ともに同時期の建築である。いわゆる総欅造である。本殿は長押(なげし)を廻(めぐ)らし、組物は尾棰(おだるき)のある二手先(ふたてさき)。縁は四手先(よてさき)の腰組に支えられる。妻飾(つまかざり)には二重虹梁大瓶束(にじゅうこうりょうたいへいづか)を用い、中備(なかぞなえ)は波形模様で細工は精緻である。幣殿は切妻造(きりづまづくり)、桟瓦葺とする。角柱を多用し、全体に控え目な意匠である。本殿との取合せに後世の改造があるが、全体としては旧状を保っている。拝殿は入母屋造(いりもやづくり)、桟瓦葺で向拝一間が付く。円柱を用い、斗栱(ときょう)は出組(でぐみ)、板支輪(いたしりん)には波紋を浮彫している。向拝には海老虹梁(えびこうりょう)を渡し、中備には龍彫刻を施し、派手な意匠である。柱間装置を含め、よく当初の姿を保っている。近世末期の典型的な神社建築と考えられる。
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