概要
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この全図は安政2年(1855)、菊池川絵図方御用懸(がかり)、井上英太右衛門により作られた菊池川水源の渓谷から玉名郡滑石の河口に至る全流域を描いた2,000分の1の測量図である。この図は草稿と考えられており、浄書(藩提出用)と思われる図が熊本県立図書館に所蔵されている。 図面には、川幅・分流、水流を調整する刎(はね)、魚を漁する簗(やな)、堰(せき)ごとの用水面積、橋や渡船、集落・農地・道路などが細密に、しかも黒・黄・赤・青と色彩鮮やかに描かれ、石垣・崖・滝などは写実的であり、村々や手永の境界や農地の測量に立会った役人たちの記名もみえる。また灌漑用水や船着場の規模や構造について数多の考証を残している。
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