History 時代から調べる
旧石器時代
現代人が属するホモ・サピエンスは約20万年前にアフリカに出現し、約10万年前から世界各地へ拡がり始め、日本列島に到達したのは約4万年前といわれています。
旧石器時代とは、土器が出現する1万6千年前以前ですが、日本においては約3万8千年前の石器が最古と考えられています。この時期は、最終氷期(ヴュルム氷期)にあたり、最も寒い約2万年前には現在と比べて年間平均気温が7℃ほど低く、海水面も約130m低かったため、北海道は樺太島を経てユーラシア大陸とつながっていました。町田市域では木曽森野遺跡から発見された約3万年前の石刃が最古の石器となります。
旧石器時代の日本列島は火山活動が活発で、南関東では主に富士箱根火山帯からの火山灰が降り積もって関東ローム層を形成し、酸性が強いこの地層でも消滅しない石器、礫が旧石器時代を探る手がかりとなります。
人々は狩猟・採集をしながら移動する生活を送り、テントのような簡易な住居に住んでいたのでしょう。住居跡と推定されるものは田名向原遺跡(神奈川県相模原市)から発見された住居状遺構など全国でも数例しかありません。市域では住居跡は発見されておらず、屋外調理施設と考えられる礫群、石器を製作する過程で生じた剥片などが集中するブロックが発見されています。
市域の代表的な遺跡は、武蔵岡、相原坂下、忠生、木曽森野、高ヶ坂南遺跡など境川流域にまとまっており、この他には鶴見川流域の向遺跡、恩田川流域のなすな原遺跡などがあげられます。代表的な出土遺物ではナイフ形石器、尖頭器、細石刃などがあり、これらの材料として遠隔地でしか産出しない黒曜石がすでに大量に搬入されていました。