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解題・説明
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戦前、生活の苦しい家庭の婦女子は、家計の足しに、小学校を卒寮すると13、4才で地元で唯一の企業である製糸工場へ就職、女工寮に入り、世間と隔離された厳しい労働条件のもとで働き、7~8年勤めると少々の貯えをもって嫁ぐのが慣わしであった。戦後、自由民主化思想の普及によって労働条件は大きく改善されていったとはいえ、中小企業の末端までには時間を要したものである。写真は製糸工場女工寮の一部を撮ったものであるが、多数の女子工員が一部屋で暮らし、窓ガラス1枚で分かれる内と外との別世界。更に、高い板塀で囲まれた隔離された社会。これが戦後の民主化により徐々に解放されていった様子が板塀の傷みなどからも読み取れる。窓から外を見つめる女工達の目にも民主化の波がうち寄せるようである。何げないこの1枚の「女工寮」の写真、戦前の資本主義社会の日本から戦後の民主化日本へ移行する流れの一駒を捉えているのではあるまいか。
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