旗本・御家人の定義と概要

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 旗本・御家人とは、徳川氏直属の家臣団のことである。それらを総称して直参(じきさん)ともいう。また徳川氏が江戸幕府将軍であったことから、両者を合せた幕臣(ばくしん)という呼び方も一般に使用される。
 旗本と御家人の区分についてはあいまいな点も多いが、旗本は禄高が一万石未満で、歴代が将軍家へ謁見(えっけん)すること、すなわち御目見(おめみえ)を許された者、一方御家人は禄高が一万石未満であることは旗本と同じだが、将軍家への御目見が許されない者、という理解が妥当とされている。
 旗本・御家人は将軍に直属の家臣として勤仕(きんじ)するとともに、その軍団を形成する任務も負っており、徳川氏の居城である江戸城の城下に居住することが義務づけられていた。それにあたっては、旗本・御家人ともに幕府から家禄に応じた坪数の屋敷が与えられた(本章二節三項「高坪・格坪」参照)。
 なお旗本のなかでも、江戸時代以前の名家を祖先とする家や、大名家から分家した家については、幕府から特別に処遇された。その代表が交代寄合(こうたいよりあい)である。旗本は若年寄(わかどしより)支配だが、交代寄合は老中支配で、大名同等の扱いをうけた。例えば、交代寄合には参勤交代が義務づけられており、大名と同じように隔年で江戸と在所を行き来した。
 旗本・御家人の数は、時期により変化したが、江戸時代中期以降は旗本が約五二〇〇人、御家人が約一万七〇〇〇~一万八〇〇〇人であったとされている(深井 二〇〇八)。