旗本・御家人の家禄

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 江戸時代、主君から家臣に給付された俸禄のうち、各家に付属して世襲されたものを家禄といった。それには領地を与えられる場合、すなわち知行取(ちぎょうとり)と、切米(きりまい)・現米(げんまい)・扶持(ふち)・給金を現物支給される場合、すなわち蔵米取(くらまいとり)があった。こうした家禄の種類や多寡により、旗本・御家人の身分や格式、役職は決められていた。
 宝永年間(一七〇四~一七一一)を例に、旗本・御家人の家禄形態の分布を図2-2-1-1「旗本・御家人の家禄形態の分布」に示した。家禄のうち、もっとも格が高いのが知行で、以下、切米、現米、扶持、の順となる。旗本には知行取・蔵米取の両様がいたが、知行取が約四割を占めた。また家禄高別の家数は表2-2-1-1「旗本家禄別家数」のとおりである。

図2-2-1-1 旗本・御家人の家禄形態の分布
『新修港区史』(1979)、表3「宝永年間・徳川幕臣団」をもとに作成
なお、数値の錯誤は訂正した

表2-2-1-1 旗本家禄別家数(寛政10年〈1798〉末)
小川恭一『徳川幕府の昇進制度』(岩田書院、2006)、表2「寛政十年末における旗本禄高別一覧表」をもとに作成
なお、現米・扶持は俵に換算して1俵=1石とした


 一方、御家人は知行取はわずかで、ほとんどが小禄の蔵米取であった。御家人の場合、家格が譜代席(ふだいせき)・譜代准席(ふだいじゅんせき)(二半場(にはんば))・抱席(かかえせき)と分けられており、家禄を与えられたのは譜代席から譜代准席までに限られた。