港区の基本構想・計画

MINATO CITY BASIC CONCEPT AND BASIC PLAN

基本構想とは自治体の進むべき方向を定めた、いわば自治体の憲法ともいえるものです。

第1次

基本構想

港区の初めての「基本構想」は、昭和48年(1973)に学識経験者、区議会議員、区内各種団体代表等から組織された「長期計画審議会」が昭和60年代を見据えて、すべての区民が住みよい環境の中で人間らしく生活できる港区のあるべき姿について審議し、まとめた答申をもとに昭和50年(1975)3月に策定したものです。
この基本構想では、地域住民を主体とした住民のための行政を実現するため、いわゆる大都市問題として顕在化した区民の生活破壊のさまざまな現象を地域レベルで的確に把握し、区民福祉向上の立場から地域的な課題の解決の方策を示しています。

基本計画

基本構想を実現させるための政策・施策を分野ごとに計画化したものが基本計画です。第1次基本構想に基づく基本計画は、昼間人口に関する基礎調査、世論調査、区政モニター、区民の声を聴く会、議会意見聴取などを経て、昭和53年(1978)1月に昭和60年(1985)までの8か年計画として策定しました。その後、昭和56年(1981)、62年(1987)と2回の計画の見直し、ローリングをしながら基本構想で描いた港区のあるべき姿に向けた施策を展開しました。

第2次

基本構想

昭和60年代に入ると、港区は業務地化の進行とこれに伴う地価高騰の中で、区民が区内に住み続けることが困難な状況にあり、区では人口減少をくいとめるため有効な土地・住宅政策を進めることが重要だと考えていました。
第2次港区基本構想は、定住人口の確保を区政の最重要課題と位置づけ、21世紀初頭を展望した港区の将来像を「やわらかな生活都心」とし、「住みつづけられるまち」「ともに健やかにくらせるまち」「いきいきとふれあいのあるまち」をめざし、平成2年(1990)3月に策定しました。

基本計画

第2次基本構想に基づく基本計画は、平成3年(1991)、7年(1995)、11(1999)年に策定され、「住みつづけられるまち」を目指して、定住まちづくりにむけた定住白書、定住促進基金の創設をはじめ、区立住宅等優良な住宅の確保供給、街づくり住民組織への支援、安全なまちづくりの推進、住・商・工が共存するまちづくりの推進などの施策が計画化されました。
また、「ともに健やかにくらせるまち」を目指して、在宅福祉を基調とする地域福祉の充実、福祉のまちづくりの促進、特別養護老人ホームの整備、障害者の生活寮・住宅の整備、健康づくり、良好な環境保全、資源循環型社会づくりなどの施策が計画されました。
さらに「いきいきとふれあいのあるまち」をめざして、開かれた学校づくり・特色ある学校づくりの推進、文化活動、生涯学習活動等への支援と環境整備、人口減により衰退してきた地域コミュニティを再生し、また新たなコミュニティ形成にむけた環境整備と支援、国際化・情報化に対応する施策等を計画化し推進しました。

第3次

基本構想

第2次基本構想で目指した「住み続けられるまち・みなと」は、定住人口確保の施策や地価下落等の環境変化も加わり人口回帰の兆しがみられるようになりました。一方で、高度情報化の進行、国際化の進展、少子高齢化、介護保険制度の導入、都区制度改革など基礎的自治体としての区の役割は増大していました。このような環境変化を背景に、新たな時代に対応した港区のあるべき姿とそれに至る道筋を描くために新たな基本構想(第3次)を平成14年(2002)12月に策定しました。
第3次基本構想では、新たな港区の将来像として「やすらぎある世界都心・MINATO」を掲げ、街づくり、環境、福祉、教育などあらゆる分野で世界に誇れる水準の高い行政サービスの実現をめざしています。

基本計画

第3次基本構想に基づく初めての基本計画は平成15年(2003)3月に策定しました。港区を取り巻く環境変化が著しいため、第3次基本構想以降の基本計画は6か年計画とし、3年を経過した後期3年についても見直しをする中で計画策定を進めました。平成15年(2003)策定以降、後期3年計画を平成18年(2006)3月に、平成21年(2009)2月に6か年計画、平成24年(2012)1月に後期3か年計画、平成27年(2015)に6か年計画、平成30年(2018)に32年(2020)までの後期3年計画、さらに令和3年1月に令和8年(2026)までの基本計画を策定しました。
第3次基本構想に基づき策定した基本計画の特徴は、各計画期間中に緊急的・重点的に取り組む課題を設定しその解決に取り組んだこと、公募区民による「みなとタウンフォーラム」の提言をとり入れ、計画づくりの初期段階から区民参画、区民協働を推進したことが挙げられます。さらに平成18年度(2006)から実施した区役所・支所改革が目指す「地域の課題解決」を実現するため、各総合支所単位で組織された区民参画組織からの提言を反映させた「地区版基本計画」を策定したことです。
平成30年(2018)2月に策定した港区基本計画(後期3年の見直し)では、港区基本構想に掲げる政策と現在の区の取組との整合を図りながら政策、施策の体系を再構築し、まちづくりの分野では、「交通まちづくり」「自助・共助・公助による災害に強い都心づくり」、コミュニティ・産業分野では、「伝統と最先端技術が融合した区内産業支援」「多文化共生社会の推進」、福祉・教育の分野では、「地域の支えあいと自分らしく自立した地域生活の支援」「スポーツを楽しむ機会の確保と環境整備」を新たに政策の柱としました。
区は当面の区政運営の方向性として、「総合支所を中心に、地域の課題を地域の皆で解決し、お互いに支え合う、地域の誰もが安全に安心して心豊かに暮らすことができる港区ならではの地域共生社会の実現」を掲げ、「区役所・支所改革」や「参画と協働」により築いてきた、区の人材、資源などの強みを生かした行政運営を行い、自治体を牽引するトップランナーとして全国の模範となる地域共生社会の実現を目指しました。
令和3年1月に策定した最新の基本計画もその策定過程において、区民参画、意向調査、提言など多くの区民との協働で検討を進めました。こうした中、令和2年1月、世界的な大流行となった新型コロナウイルス感染症が区民生活にも影響を与えはじめ4月には緊急事態宣言が発出される状況になりました。
港区の人口は、平成29年(2017)には54年ぶりに人口25万人を突破し、すべての世代での人口増加が続き、平成39年(2027)には30万人を突破する見通しでした。しかし、平成8年以降継続して増加してきた人口は、コロナ禍以前と比べて転出者が増加するなど、令和2年6月以降、一部の月を除き減少傾向が続いています。
新たな困難に直面する中で、基本計画では、最も身近な行政として区民一人ひとりを大切に、新型コロナウイルス感染症をはじめ、今後も起こりうる目に見えない脅威から区民の命と健康を守ることを重要な課題と捉え、かつてない先行き不透明な状況だからこそ明るい未来への道筋を示し、「誰もが住みやすく、地域に愛着と誇りを持てるまち・港区」を実現する計画となっています。
区民とともに描いたまちの姿(①区民一人ひとりが大切にされ、多様性を認め合い、港区への愛着と誇りを持って活発なコミュニティが醸成されているまち、②誰もが住みやすく、夢に向かって挑戦し、いきいきと輝きながら躍動するまち、③あらゆる危機に強く、誰もが安全に安心して暮らすことができ、環境負荷の少ない持続可能なまち、④進歩する先端技術が区民サービスに活用され、便利で快適な区民生活が実現している最先端のまち)を計画最終年度の港区の姿と設定して実現を目指しています。