行橋市の北西部で、小波瀬川に沿って開けた狭長な平野の最奥部福丸地区に位置する。現在は天台宗の願光寺(がんこうじ)が建っているが、その庫裏(くり)を中心とした一帯の水田下に廃寺は埋没している。昭和五十二年(一九七七)から三か年にわたって行橋市教育委員会による発掘調査が行われ、その結果伽藍(がらん)配置は南から北へ塔・金堂・講堂が直線上に並ぶ四天王寺形式であることが確認された。
平成四年(一九九二)には、椿市地区の圃場整備事業に先立って再び廃寺跡の調査が行われ、講堂の基壇の石組みや版築・回廊の柱穴群などが出土している(第11図参照)。
第11図 椿市廃寺跡の発掘(行橋市教育委員会提供)