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多彩な文化交流のあと

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これまでの主な出土遺物は、塔の心礎(第12図)をはじめ陶磁器(とうじき)類・瓦などである。瓦は百済系軒丸瓦、重弧文(じゅうこもん)軒平瓦、新羅系軒平瓦、高句麗(こうくり)系軒丸瓦、大宰府系軒丸瓦、平城宮跡出土の瓦に酷似する軒丸瓦などがある。土器では土師器・須恵器、磁器では龍泉窯系碗(りゅうせんようけいわん)・同安窯系皿(どうあんようけいさら)などがある。そのほか銅銭・銅鈴・螺髪(らほつ)・羽口(はぐち)が出土しているが、出土遺物には内外との多彩な文化交流の跡をみることができる(第13図参照)。

第12図 椿市廃寺跡の塔心礎


第13図 椿市廃寺出土瓦(一部)拓影
(「椿市廃寺」行橋市教育委員会 1980より)


椿市廃寺の伽藍配置

 本廃寺の存続期間は、七世紀から九世紀にかけて存続したものとみて大過ないものと考える。