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(二) 郡司とその職務

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 郡の役人である郡司は、国司が中央から赴任してきたのに対して、在地の有力な豪族の中から任用され、大領(かみ)・少領(すけ)・主政(じょう)・主帳(さかん)の四等官が置かれた(第6表)。郡司は終身官であったが、その任用にあたっては次のことが勘案された。すなわち選叙令には大領・少領は「性識清廉時務に堪える者」とし、主政・主帳は「強幹聡敏書計に工(たく)みな者」と規定し、更に「其大領少領才用同者先取国造」としていて才用主義と譜第主義を取り入れているが、時期によりどちらかに重点を置いていた。そして平安時代になってからは、新興の郡司も現れてくるようになった。
 郡司はその下に郡書生・案主(あんず)・鎰取(かぎとり)・駆使(くし)・伝馬長や雑役などに使用された多くの徭丁(ようてい)を従えて勤務し、職掌は次のようなものであった。
 (1)勧農(耕地の開発とそれに伴う徭役の徴発、公出挙)
 (2)徴税(租・庸・調、※運京)
 (3)司法(一部の検察とそれに伴う笞罪の執行)
 (4)司祭(郡規模のもの)