このように、小倉小笠原藩の本年貢の計算法は複雑であるが、基本は本高に免を乗じるものである。免は村の状況を加味しているので、村同士の相対的な不公平は生じにくい。ところが、夫役などの高掛り物は、本高に一定の率を掛けて賦課したので、村同士の不公平が生じた。そこで、万治元年(一六五八)から、四ツ高を基準にして賦課する方法に改めたという。その算出法は、京桝物成を〇・四で割れば求められる。ただ、引高は京枡物成から除くから、(京枡物成-引高)÷〇・四が実際の算出方法である。この方法で算出した仲津郡の全村の四ツ高は第59表のとおりである。領内に広く流布した地方書には、「(四ツ高は)其村に出来ル所の現米なり」(「大綱郡役農業一切記」安武手永大庄屋文書五二)などと書かれているが、この解釈は当たっていない。四ツ高は、京桝で勘定した米の全収穫量に前述の付加税を含めたところの数字だからである。
手永名 | 村名 | 四ツ高 |
国作手永 | 福 富 | 561.43875 |
国 作 | 881.08075 |
惣 社 | 282.77550 |
矢 富 | 614.80025 |
有 久 | 213.74750 |
大 橋 | 1836.36100 |
竹 並 | 465.27150 |
下 原 | 208.88100 |
田 中 | 544.44775 |
呰 見 | 419.31450 |
綾 野 | 505.72000 |
上 坂 | 166.09650 |
徳 政 | 560.84425 |
国 分 | 574.64200 |
節丸手永 | 吉 岡 | 162.43825 |
上 原 | 374.24025 |
光 冨 | 862.24000 |
節 丸 | 1138.64075 |
犬 丸 | 419.50000 |
内 垣 | 417.59000 |
末 江 | 270.99700 |
下高屋 | 249.33700 |
上高屋 | 829.27400 |
木井馬場 | 818.57900 |
横 瀬 | 525.85875 |
下伊良原 | 504.67100 |
上伊良原 | 643.19150 |
帆 柱 | 69.87825 |
扇 谷 | 14.90100 |
平嶋手永 | 津 留 | 724.00950 |
真 菰 | 264.49100 |
今 井 | 1032.48600 |
宮 市 | 693.08600 |
寺 畔 | 407.12050 |
流 末 | 431.21500 |
天生田 | 893.16075 |
彦 徳 | 309.65975 |
崎 野 | 368.37625 |
柳井田 | 421.63275 |
平 嶋 | 306.57675 |
草 場 | 995.03925 |
道場寺 | 618.60450 |
徳 永 | 224.41025 |
元永手永 | 元 永 | 1159.21375 |
竹 田 | 398.11150 |
沓 尾 | 19.01550 |
高 瀬 | 549.71225 |
稲 童 | 670.01900 |
辻 垣 | 284.28325 |
大野井 | 1153.22375 |
金 屋 | 336.64300 |
宝 山 | 707.79475 |
羽根木 | 560.21475 |
蓑 島 | 18.88600 |
小犬丸 | 359.37150 |
馬 場 | 418.21200 |
長 江 | 353.56375 |
松 原 | 363.67800 |
長井手永 | 花 熊 | 618.21425 |
木 山 | 227.84730 |
谷 口 | 468.53575 |
大 村 | 468.71550 |
大 坂 | 386.64400 |
柳 瀬 | 432.57850 |
崎 山 | 1262.15975 |
喜多良 | 474.52825 |
鐙 畑 | 53.24050 |
大 熊 | 500.34150 |
山 鹿 | 531.57675 |
本 庄 | 1052.47125 |
古 川 | 625.86175 |
久 富 | 525.62350 |
続命院 | 525.14200 |
八ツ溝 | 138.24900 |
(史料)「嘉永五年仲津郡本田御勘定帳」 (国作手永大庄屋文書) |