解題・説明
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【判型】大本2巻1冊。 【作者】武藤西察作・書。 【年代等】寛文9年(1669)5月作・刊。[江戸]河村利兵衛板。 【概要】分類「往来物(消息科)」。日常生活上の諸用件に関する消息文約70通(「新年を賀し鴨・雉を贈る文」から「御上使御乗船の日限通知の依頼状」まで)を収録した往来。各書状は、当時の京都豪商間で遣り取りされる日用文で、その点、松永貞徳作の用文章を編集した慶安3年(1650)刊『貞徳文集』の流れを汲む。現存する完本は三次市立図書館本のみで、三次本には「寛文九年酉五月吉日、武藤氏自作自書」の識語を付す点で貴重。他に旧謙堂文庫に上巻のみの零本2種(日付入り本と日付無し本)があるが、これら三者いずれも異板である。 【備考】作者名については、母利司朗「往来物作者の自筆手本巻 ─筆工の文化的階層をめぐって─」(京都府立大学学術報告.人文(66),35-48,2014-12)による。(小泉吉永 記)
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