解題・説明
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【判型】大本1冊。 【作者】楊井弥三郎(柳井融斎)書・跋か。 【年代等】室町中期作。天文17年(1548)1月書。 【概要】分類「往来物(古往来)」。後半に『手習往来』を合綴する。『鎌倉往来』は、中流武家の間で実際に遣り取りしたと思われる消息文例5双・10状から成る往来。関東武家の子弟を対象に編んだため『鎌倉往来』と命名したものか。第1状「武具借用状」に武具名38語、第2状「同返状」に武具および旅行用具36語など、冒頭4状に種々の語彙集団を含む。識語に「雖為悪筆、依所望、書写畢。筆者生年七拾陸歳成候」と記す。後半の『手習往来』は、武家の戦場における覚悟と心得とになぞらえながら、子どもに手習いの教訓と方法を諭した往来物で、近世の『初登山手習教訓書(手習状)』の先駆となった点で重要な意義を有する。(小泉吉永 記)
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