解題・説明
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【判型】大本1冊。 【作者】不明。 【年代等】江戸後期書。 【概要】分類「往来物(産業科)」。文政3年(1820)書『庄屋日記』や天保7年(1836)書『在郷往来』とほぼ同内容の往来。「抑庄屋之為役儀事、天照大神之御治世、村々に邑君を定め給ひ、庄官と号け、又は名主と呼ぶ…」と書き始めて、まず庄屋の起源と当代の農村支配体制における職務に触れ、庄屋子弟に必要な知識(諸法令、『御成敗式目』『四書』『五経』等)や資質(正心・始末・倹約・智恵・才覚・分別・思案・堪忍)、村政管理書類、宗門人別改め、他出人の把握、救恤政策、検地対応、年貢・諸役、寺社管理、災害・飢饉時の対応、治安・法令遵守、公事・訴訟、風紀維持と庄屋の心構えまでを記す。 【備考】庄屋子弟向けに編まれた往来物には、『庄屋日記』『在郷往来』『庄屋往来』『庄屋式目写』があり、内容も似通っているが、年代が明らかな最古本は文政3年(1820)書『庄屋日記』である。ちなみに「庄屋」の書名を含む往来物は数種確認されているが、「名主」や「肝煎」等の書名を持つ往来物は発見されていないことから、子弟の教育ニーズの地域差を示したものとも言えよう。(小泉吉永 記)
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