解題・説明
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【判型】大本1冊。 【作者】池田松翁軒(宗次)作。栂佐平治書。 【年代等】文化8年(1811)1月書。 【概要】分類「往来物(産業科)」。元禄16年(1703)刊本の写し。異称『船方往来』。日本の船の濫觴と船の守護神、船体各部の名称、船大工諸道具や心得について述べた往来。本朝の船が崇神天皇の時代に初めて作られたことから書き始め、船舶の各部があらゆる神仏に守護されていること、船頭が吟味すべき船体の要所、船大工の道具の由来(曲尺は阿弥陀仏に由来し、墨斗(すみつも)は大日如来の化身であるというように仏説中心の記述である)、船舶用材、船印と「○○丸」の名称の意義などを順々に述べ、最後に船に関わる者は心から諸神諸仏を仰ぐべきことを諭す。本文を大字・4行・付訓で記す。本書は後に堀流水軒作『〈堀氏〉寺子往来』中に合綴されたが、筆者・池田松翁軒の名が抹消された。 【備考】本書の刊本は元禄16年(1703)5月書・刊、[大阪]深江屋弥兵衛板。本書の改題本に『船方往来』(ただし安政(1854~59)頃刊『船方往来』(本館蔵)とは別内容)があるが、こちらは寛政12年(1800)刊『寺子教訓諸職往来』中に収録されている。なお、裏表紙見返に「此手本、船大工清次郎もらい」と記す。(小泉吉永 記)
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