解題・説明
|
【判型】半紙本1冊(初編のみ)。 【作者】葛飾北斎画。高雄文蜘堂(翰台)書。石川雅望(六樹園)序。橋本孝(廬山)跋(初編)。*山会外史序(2編)。 【年代等】文政11年(1828)9月跋・刊。[江戸]西村屋与八(永寿堂)板。*初編~3編は文政11年(1828)~嘉永元年(1848)刊。初編は[江戸]西村屋与八板、2・3編は[名古屋]永楽屋東四郎板。 【概要】分類「往来物(古往来)」。半紙本3巻3冊または3巻合1冊本で完本だが底本は初編(単行本)1冊のみ。『絵本庭訓往来』は、『庭訓往来』に、当時の社会風俗を活写した見事な描写の北斎挿絵を数多く施した絵本。『庭訓』本文を大字・7行・付訓で記し、上段または下段2分の1、あるいは左右半分、もしくは半丁全部を挿絵に宛てた絵本で、合計160葉を掲げる。中世に作られた本文に、近世後期の庶民風俗画などを掲げる。従来の『庭訓往来』絵抄本のように事物中心ではなく、各種情景や風俗を主とする。初編末尾の「卯月(4月)11日」状では本問屋を描いて「文政十一戊子歳」「問屋、西村与八」「永寿」などの文字を差し挟み、また、中巻第3丁表、5月9日状の客人を迎える絵図の縵幕の絞りに「永楽蔵板」(銭形)を書き入れて、板元の宣伝に供する。 【備考】本書の版下を担当した彫工は、江川留吉(五常亭)。なお、江戸後期刊『永楽新童訓往来』にも本書を合綴したものがある。(小泉吉永 記)
|