解題・説明
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【判型】半紙本2編6巻6冊。 【作者】島有三(鳴甫)作・序。若林長栄画。 【年代等】明治7年(1874)刊。[大阪]中川勘助板。 【概要】分類「往来物(地理科)」。異称『〈文明〉大日本往来』『〈改正〉大日本往来』『〈島有三編輯・開化〉大日本往来』『開化大日本往来』。序文によれば近世の『日本往来』を大幅に改訂し、「維新開化の景況、北海道及奥羽之領国、府県各港、郡名、其他産物、風土、名勝等その約略を俗文体に綴編し」た往来。まず、「端言」として「諺に、地理を知らざる人々は、足なき人に異ならずと、其歩むべき踏出しは、まづ我国の華も香も、しりて他国に移るべし…」で始まる七五調の文章で、地理的教養の重要性や世界における日本の位置と国勢のあらましを述べ、以下、五畿八道毎に各国の地理・歴史・産業などを紹介する(初編は畿内・東海道・東山道・北海道、後編は北陸道・山陰道・山陽道・南海道・西海道・琉球国)。本文を大字・5行・付訓で記す。また、各巻に数葉の風景画を載せるが、近世以来の名所のほかに「大阪川崎造幣寮の図」や「神戸(港)の図」など新時代を象徴する図も多い。なお、第1巻冒頭に、臥龍軒貞義作の「大日本国之図」「北海道全図」を掲げる。 【備考】本書には中川勘助板のほか、[大阪]秋田屋市兵衛(大野木市兵衛)板もある。(小泉吉永 記)
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