解題・説明
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【判型】大本1冊。 【作者】不存斎白鳥作。 【年代等】天明7年1787)初刊。文化13年9月求板。[京都]鉛屋安兵衛板。 【概要】分類「往来物(地理科)」。大和国の名所旧跡等を記した往来。頭書に多彩な往来を盛り込み一種の合本科往来の趣を持つ。「夫、大和一国中は神武帝より代々の帝所々へ宮居ましませし国なれば、名所・古跡多く、神社仏閣頗多し。其名跡霊跡等具(つぶさ)に書集て其志を達せんとおもはん人々委鋪(くわしく)順覧させん事を願ふ…」で始まる文章で、京都・伏見街道・稲荷明神・藤の森神社から玉井寺・東観音寺・木津川・笠置山・柞杜(ははそのもり)・西大寺・唐招提寺・薬師寺・般若寺・東大寺・春日大社・三笠山・興福寺・三輪大明神・長谷寺・多武峰(とうのみね)・大織冠鎌足公廟・吉野山・法隆寺・竜田川・葛城明神・橘寺・飛鳥・橿原(かしはら)等々を歴覧し、さらに紀州和歌浦・紀三井寺・粉川寺、河内観心寺・叡福寺・道明寺・天王寺・住吉明神・大坂城下を経て京に戻るまでの沿道の名所・古跡の景趣・縁起・古歌・名物・風俗などを紹介する。内容が豊富で、大和一国のみならず周辺諸国にも言及するのが特徴。本文を大字・6行・付訓で記し、主要名所の風景画を頭書に載せる。前付に「奈良春日図」「和州初瀬景」「十二月之異名」、頭書に「商売往来」「小野篁歌字尽」「七伊呂波」「廿四孝絵抄」「大日本国尽(郡附)」「書初の詩歌」「七夕の詩歌」「小笠原諸礼之図式」「百官名尽」「東百官」「京町づくし」「〈西山名所〉嵯峨野の秋」を収録する。 【備考】題簽は手書きの後簽。(小泉吉永 記)
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