解題・説明
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【判型】大本1冊。 【作者】刊本は堀月下作。 【年代等】江戸後期書。 【概要】分類「往来物(地理科)」。天保6年(1835)序・刊『〈名所旧跡〉河内往来』の本文の一部を写した手習本。本文が「続く川岸に舟さし寄而渚院は帷喬(これたか)親王遊猟の離宮なり…」で始まり、末尾が「…御影堂は此皇(このきみ)の」で終わるように、冒頭部と末尾を欠く(全体の3分の1程度)本文を大字・2行・無訓で記す。 【備考】広岡冨三郎使用。天保6年(1835)序・刊『〈名所旧跡〉河内往来』は、河内国中の「神社仏閣・村里・川流等の名目を顕し、猶、頭書には当時の和歌・俳諧をくはへ、或は名物・名産をしるした」往来。「抑此国の名を河内と申は、其むかし神武天皇難波の津より青雲の生駒山に攀(よじのぼ)り遙に叡覧ましませは、東より南は峩々たる山続にして…」と筆を起こし、河内国の地形、国号の由来、一の宮・牧岡神社を始めとする寺社縁起、名所故事などを、しばしば古歌を引きながら紹介し、末尾を「…折々尋ね求て筆を取へく候。かしく」と女文形式で結ぶ。本文を大字・5行・所々付訓で記す。巻頭に七十五翁四端らの和歌・俳句と河内名所風景図、頭書に「当時の好士和歌・俳諧、名物・名産のるい」、さらに巻末に藤林春碩筆の「書初詩歌・七夕詩歌」計20首を掲げる。(小泉吉永 記)
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