解題・説明
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【判型】大本1冊。 【作者】小義喬(海津文狸)書。 【年代等】寛延4年11月(1751)作。文政7年(1824)書。 【概要】分類「往来物(地理科)」。信州埴科郡松代(海津・貝津)地方の沿革や地理を記した往来。「抑南膽部州大日本信陽埴科郡縣壮松井郷藤沢里松代海津者、往昔清野殿屋敷にて、天文六年未八月武田晴信公に属し…」と起筆して、天文(1532~55)以後当代に及ぶ統治の歴史、松代藩政下における寺社の造営とその縁起、聖道と国土富饒、名産品・名所、藩内諸郡と隣接諸藩、文武に励む藩士の気風、和漢古今名筆と入木道奨励までを述べる。底本は最古本の寛延4年写本(謙堂文庫蔵)系統の写本であり、末尾の撰作年代を誤記する点などから文政7年の書写と考えられる。 【備考】本文末に「寛延龍含未載復月上澣」と記すが、「寛延龍舎(春)辛未歳(寛延4年)復月(11月)上澣(上旬)」の誤り。書写の「海津文狸」は作者の別称であろう。なお、『海津往来』の異本として、本文冒頭部の統治の歴史を箇条書きに並べ、さらに文化・文政(1804~29)頃までの沿革を増補した文政9年写本『海津往来』(謙堂文庫蔵)もある。(小泉吉永 記)
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