解題・説明
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【判型】中本1冊。 【作者】黒男亭東玉画。 【年代等】享和元年(1801)頃初刊。文政4年(1821)8月再刊。[江戸]森屋治兵衛板。 【概要】分類「往来物(地理科)」。「抑、事旧(ふり)にたれど、松嶋は扶桑第一の好風にして、凡洞庭・西湖を恥ず…」で始まる文章で、松島とその近在の名所旧跡・神社仏閣の景趣・縁起などを記した往来。一部、天明8年(1788)刊『〈増補・頭書・絵入〉新編松島往来』の影響が見られるが、本書の場合、書簡体をとらずごく簡単に記述する点が特徴的で、全体的に他の『松島往来』と比べ地誌的事項に乏しい。本文を大字・5行・付訓で記す。巻頭に「壺の碑ほか眺望図」「多賀城由来」、頭書に「百官名」「東百官名」を掲げる。 【備考】底本は改装本であるが、原装本には「松嶋名所文庫」と記載するものもある。なお、本書の類書には、天明8年(1787)刊『〈増補・頭書・絵入〉新編松島往来』(「去頃、奥州暦覧いたし、此程令帰府候…」で始まる)、文化4年(1807)刊『〈頭書・名所和歌・絵入〉新編松嶋往来』(「兼而御物かたりいたし候、奥羽再遊之事、塩竃路よりおもひ立…」で始まる)、明治3年(1870)書『奥州もふで』(天明8年板の改編本)などがある。(小泉吉永 記)
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