解題・説明
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【判型】中本1冊。 【作者】千形仲道書。 【年代等】文政7年(1824)9月刊。[江戸]西村屋与八板。 【概要】分類「往来物(地理科)」。近世中期における全国の名産品を列挙した往来物である江戸中期刊『名物往来文宝蔵』([江戸]村田治郎兵衛(栄邑堂)板)の改題・改編本。「先、洛陽西陣之綾織、上京誂染、室町呉服、鼠屋柄糸、岩井具足、埋忠鉄仁、正阿弥鍔、御影堂扇、御所文匣、内裏雛…」と京都の特産物から書き始め、以下、各地の農産物、海産物、工芸品、加工食物、醸造品などを随意に列挙するが、末尾は一定の分類意識が見られ、「衣服之品」「異国之渡物(衣類・薬種・金石・工芸品等)」の数々を列記し、「…南蛮、阿蘭陀、新羅、百済等之珍宝、不可有際限。仍、大略如件候。謹言」と結ぶ(末尾は諸本によって異なる)。本文を大字・6行・付訓で記す。なお、頭書に「諸国温泉記」を掲げる。 【備考】底本は改装本で、見返を欠くが、原装本の見返には「願成就日」「不成就日」「月の出、しほのさし引の事」を載せる。なお、本書には類書が多いが、類書の最古本は、安永7年(1778)刊『〈新版大字〉諸国名物往来』(「凡、諸国名物者、先於洛陽西陣綾織…」で始まり「…猶期後慶之時節候。恐惶謹言」と結ぶ)である。(小泉吉永 記)
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