解題・説明
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【判型】中本1冊。 【作者】高井蘭山(哂我・思明・伴寛・三遷)作。高橋尚富書。 【年代等】寛政6年(1794)1月書。江戸後期刊。刊行者不明(刊記欠。[江戸]山本平吉(栄久堂)板か)。 【概要】分類「往来物(地理科)」。「此度、妙義御参詣思召立候に付、御案内旁御供可申由、承知致候」で起筆するように、妙義山参詣を志す人へ同道を申し出る手紙文の形をかりて、江戸から妙義山までの沿道の名所旧跡や上州妙義大権現などを紹介した往来。まず、江戸・本郷通りを出発し、巣鴨庚申塚・護国寺までを略述し、以下所々、「畷続(なわてつづき)に板橋や、蓮沼・志村打過て、戸田の壙野の花薄(はなすすき)…」のような七五調の文章で、戸田・蕨・浦和から高崎・佐野・安中までの順路を示し、さらに妙義大権現の縁起・由来、結構や社殿の様子、景趣、また近辺の名所や眺望などを記す。本文を大字・5行・付訓で記す。頭書に「漢音・呉音の辨」「日本の言語・四声の弁」「名頭字の辨」「古今大部の書」「開闢以来年数」「干支異名」「二十四番花信風」等を載せる。 【備考】底本は見返・巻首・刊記を欠く改装本であるが、本来は巻首に前付として「上州妙義山全図」「日本七峯」「上野十二社」を収録し、本書が文政4年(1821)再板本であれば、裏表紙見返の刊記部部に略地図「妙義詣案内」を収録していたものと考えられる。本書初板本は[江戸]花屋久治郎(星運堂)板、文政4年再板本は[江戸]山本平吉(栄久堂)板であるが、底本は刷りなどの状態から文政4年板と思われる(0312「上州妙義詣」として本館に架蔵)。なお、本書の続編として刊行されたのが『上州榛名詣』(0302「榛名詣」として本館に架蔵)である。(小泉吉永 記)
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