解題・説明
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【判型】大本1冊。 【作者】不明。 【年代等】寛政12年(1800)初刊。江戸後期再刊。刊行者不明。 【概要】分類「往来物(教訓科・産業科)」。「諸職往来」「天神教訓状」「船方往来」から成る往来。本文欄を上下2段に分け、上段に「諸職往来」、下段に「天神教訓状」と「船方往来」とを収録する(各往来の概要は備考欄参照)。うち「船方往来」は、元禄16年(1703)刊『船由来記』の改題本である。本文を大字・6行・付訓で記し、本文中に挿絵二葉を掲げる。 【備考】(1)諸職往来=寺田正晴作、享保5年(1720)初刊の往来物。元禄7年(1694)刊『商売往来』に触発されて、それに漏れた語句を中心に綴った往来で、冒頭に四民が「国家之至宝」であり、「日用万物調達之本源」であることを述べ、以下、四民の順にそれぞれの本務と心得を列記したもの。(2)天神教訓状=享保6年(1721)刊『初学用文筆道往来』の頭書が初見と思われるが、合本科往来などに付録されることが多い。万代にその名を残すのは学文の功績が一番であるから、まず俗典(仏書以外の典籍)によって五常の教えを習い、その後に仏教を学ぶべきであると冒頭に述べ、貧苦を愁えず、遊芸を排除し、寸暇を惜んで学ぶべきこと、千両の金より一言の教訓の方が価値があることなどを説く。(3)池田松翁軒作、元禄16年(1703)書・刊『船由来記』が最古本で、日本の船の濫觴と船の守護神、船体各部の名称、船大工諸道具や心得について述べた往来(0256「万船往来」と同内容)。(小泉吉永 記)
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