解題・説明
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【判型】中本1冊。 【作者】鼻山人(東里山人)作。 【年代等】文化13年(1816)秋作・刊。[江戸]岩戸屋喜三郎板。 【概要】分類「往来物(産業科)」。享和(1801~4)頃刊『番匠作事文章』等にならい、もっぱら宮大工の子弟用に編まれた往来物で、神社仏閣建築に関する語彙や知識を綴る。「凡、神社仏閣・堂塔伽藍・坊舎・寺院、新規造営仕形荒増取扱文字、正字・当字・万葉書、義理訓等之無差別、世上一同通用者…」で始まる文章で、寺社建築に関する手順や工程、必要な材料・素材、建物各部の名称や装飾・工法などを紹介する。さらに末尾で、宮大工としてあらゆる作業に細心の注意を払い、また先代の流儀・定法をよく守るべきことや、上棟式のあらましなどに言及する。本文を大字・5行・付訓で記す。巻頭に「聖徳太子像」「大工半纏の由来」、頭書に「人倫名目字尽」「破軍の星はや繰やうの事」「仏像の体想を速やかに知る法の事」等の記事を掲げる。 【備考】本書初刊本は底本のように岩戸屋板。後印本に[江戸]森屋治兵衛板がある。なお、本書の内容を補充し、絵図や関連記事を多く付載した『〈万宝柱立〉番匠往来』が同じ著者によって編まれ、文政6年(1823)に刊行された。(小泉吉永 記)
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