解題・説明
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【判型】大本1冊。 【作者】不明。 【年代等】江戸前期(元禄頃)刊。[江戸]鱗形屋孫兵衛板。 【概要】分類「往来物(教訓科)」。牢人が書いた教訓状、すなわち藤原定朝が左衛門尉に宛てた書状に見立てて綴った古状単編形式の往来。牢人が困窮しきった有様を記し、それというのも、身の修養を怠って忠孝に励まず、戦場で名を挙げる活躍をしなかったなど「過去の罪業」によるものであるから、これからは心を入れ替えて来世の菩提を祈るようにと諭す。 【備考】末尾に「正月吉日」と記し、刊年を明記しないが、元禄頃の刊行と思われる。なお、『牢人状』の最古本は慶安3年板で、万治2年(1659)・ゑびすや市兵衛板、延宝4年(1676)・安田十兵衛板、延宝8年以前・松会市郎兵衛板、江戸前期・本問屋板、宝永4年・仙台板等が知られるが、これら刊本に先立つ、常州真野・池田喜太夫の寛永3年閏4月筆写本(横山重旧蔵)もあるという。(小泉吉永 記)
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