解題・説明
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【判型】大本1冊。 【作者】置散子書。 【年代等】江戸前期刊。刊行者不明。 【概要】分類「往来物(歴史科)」。榊原康政より加藤主計頭清正に宛てた「天正庚寅(18年)六月日」付け書簡の形態により、天正18年(1590)3月より7月にかけて豊臣秀吉が行った小田原攻めと、北条氏降伏直前に至る軌跡について記述した往来。特に、出陣と箱根を越えて小田原城包囲の経緯、大名の配置、陣立の様相、関東各地の制圧、落城寸前の状況と捕虜の処置等を詳述する。本往来は、歴史科古状型(古状単簡)に属するが、戦陣・戦場の様相を詳述したものとして、他に類例を見ない独自性を持つ。「遠路御礼本望之至候。仍、家康方江御帷子被進之、一段祝着被存候…」で始まる本文を大字・5行・所々付訓で記す。なお、本書とほぼ同内容の往来に『清正え康政より返書』がある。 【備考】延宝8年(1680)初刊という。なお、三次本とは異板と思われる一本が小泉所蔵本中にある。(小泉吉永 記)
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