解題・説明
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【判型】中本1冊。 【作者】滕耕徳作・書。高井蘭山(哂我・思明・伴寛・三遷)補。 【年代等】寛政2年(1790)10月書・刊。[江戸]花屋久治郎(星運堂)板。 【概要】分類「往来物(地理科)」。江戸・日本橋より下総国葛飾郡・真間中山に至り、行徳を経て江戸に戻るまでの沿道の神社仏閣・名所旧跡と、真間山弘法寺(ぐほうじ)の縁起・景観等を記した往来。「兼而相催候通、下総国葛飾郡真間中山国府台(こうのだい)一見の事、二、三日中に御案内可致候…」で始まり、「猶、其節みちすがら緩々(ゆるゆる)御物語可申候。恐惶謹言」と結ぶ全1通の手紙文で綴る。未明に日本橋を出発すると両国橋で日の出になり、「旭の影は橋上に輝、隅田川の流に映じ、不二(富士)・筑波を左右に眺め…」のように時間の経過や季節感のある情景を織り込み、徳願寺参詣の名物「笹屋の饂飩」を紹介するなど、旅情を誘う記述となっている。本文を大字・5行・付訓で記す。頭書に高井蘭山による「四書五経等の書物、日本に行るる権輿(はじまり)」「四書五経童蒙辨」「年中行事起元」を掲げる。 【備考】底本は巻頭口絵など1丁半(真間中山周辺図、手習図)を欠く(うち手習図は0306「筑波詣」末尾に誤って綴じられている)。なお原装本には「〈頭書絵入〉真間中山詣」の題簽を付し、見返に「〈新編〉真間中山詣(後印本では「詣」の字を削除)」と記す。(小泉吉永 記)
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