解題・説明
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【判型】中本1冊。 【作者】中原耕張(孔鶴堂)作・書。黒男亭東玉画。 【年代等】享和2年(1802)6月作・初刊([江戸]花屋久治郎(星運堂)板)。江戸後期再刊。[江戸]山口屋藤兵衛(錦耕堂)板。 【概要】分類「往来物(地理科)」。異称『浅草詣』。「兼々御約束申候、浅草詣の御事、思召立候はんや…」で始まる手紙文の形式で、江戸柳橋より浅草寺に至る道順を記し、次いで、「柳橋より小舟に乗、先向ふなる御寺こそ、有無の二ゑんの回向院…」のような七五調の美文体で同寺の景趣、由来・縁起、名物、賑わいの様子などを記した往来。末尾を「…茶店に少し休ふて金竜山のうづら、焼竹の包も家づとに…雲間に走る雁のこゑ、まづもどり道にぞなりけらし。穴賢々々」と帰路の風情を描いて結ぶ。本文を大字・5行・付訓で記す。口絵に「浅草寺山門図」、頭書に「浅草名物尽」を収める。 【備考】巻末広告に、十返舎一九作の伝記型往来物など色刷り絵題簽付きのシリーズの往来物が列記されており(その多くを本館も架蔵)、広告文に「右、新板中本(今日では一般に「半紙本」と呼ばれる)色外題の往来物…」と記すため、これら一連の往来物が全て色刷り題簽を付していたものと思われる。この一覧に出ているものは全て現存するが、下段末尾の「平久家宅往来」は正しくは「永久家宅往来」である。(小泉吉永 記)
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