解題・説明
|
【判型】中本1冊。 【作者】雲鱗画。 【年代等】文政11年(1828)8月刊。[江戸]西村屋与八板。 【概要】分類「往来物(地理科)」。総州(上総・下総)の六阿弥陀(1番徳満寺、2番延命寺、3番泉倉寺、4番長楽寺、5番三宝院、6番勢至堂)参詣の順路に沿って、同地域の名所旧跡、風景などを書き記した往来。「嚮(いつぞや)御物語申候総州六阿弥陀参詣の事、幸ひ山々の桜真盛(まさかり)に候まゝ、心置なき友どち申合せ、硯・懐紙等を用意し、道筋は先布川(ふかわ)を始とし…」で始まる手紙文風に綴る。各霊場にまつわる故事・宝物、境内の様子、また近辺の名所(回向所最勝院・納経所来見寺・木余無量寺・懺悔所念仏院・供養所瑞光寺等)や道中の風景などの描写も採り入れながら順々に紹介し、「…歩みを運ぶ輩(ともがら)は、子孫栄え長寿して、現現世安穏、後の世も、福得円満疑ひなし。是偏に弥陀の誓願と承り、信心渇仰して筆を止ぬ」と締め括る。本文を大字・6行・付訓で記す。巻頭口絵に「海珠山望布川之図」を掲げ、頭書には六阿弥陀および周辺の風景図と順道詠歌、また参詣路の里程などを載せ、巻末にも六阿弥陀参詣五里九丁余の行程一覧を付す。 【備考】本書求板本(江戸・文網堂板)では『下総名所往来』と改題された。(小泉吉永 記)
|