解題・説明
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【判型】中本1冊。 【作者】十返舎一九作・序・画。酒上登呂里(十返舎一九か)序。山里亭東士跋(この跋文は333にはなし)。 【年代等】文化2年(1805)春序。文化2年1月跋・刊。[江戸]青陽堂米助板。 【概要】分類「往来物(産業科)・洒落本」。異称『』。近世流布本『商売往来』の構成にならって、倡家用語・隠語や遊女心得、遊里風俗などを戯文で書き綴った往来。「凡、商売持扱啾々蹉(やっさもっさ)取遣之節季、大門、提灯、掛取入(ねじいり)、算用矣、番新頻之思也…」と書き始め、『商売往来』になぞらえた文言で、遊郭における算用・勘定、倡家備品・雑具、客人高下、芸者揚げ代、注文用の食品などを書き連ね、最後に、倡家児童の手跡修行、歌・誹諧・香・生花・茶道・琴等の稽古の必要性、また、無益な浪費の戒め、店内清掃・接客の心得などを説く。本文を大字・5行・付訓で記す。頭書に遊里風俗の挿絵とともに、本文要語の解説「倡売往来辨解」を置くほか、巻頭に「里鹿子品定写」(鳥居清経原画)や「積物送物之図」「諸礼躾方大概」「当用之折形」「状之上書認様」「男芸者名尽」「倡家重宝秘伝」「潮来唄づくし」「客帳のしたゝめやう」等の記事を掲げる。 【備考】本館には2本所蔵する。333は手書きの題簽(後簽)で「女郎買倡売往来」と記す。334は上部が破損した原題簽のため角書の有無が不明だが「倡売往来」と記す。「〈頭書辨解〉倡売往来」の原題簽を付す本もある。なお、334の巻末には、通油町の浜松屋幸助板の板本および刷り物の広告を付す。本書の版下は十返舎一九の自筆であろう。(小泉吉永 記)
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