解題・説明
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【判型】大本1冊。 【作者】不明。 【年代等】平安後期作。正保4年(1647)11月刊。刊行者不明。 【概要】分類「往来物(古往来)」。1カ月往返2通、1年12カ月で計24通の手紙分を収録した往来。「候」文体の準漢文体書簡ではなく、漢文尺牘体の文章で綴るのが特徴。各状の主題は、平安貴族に関心のある四季の風光、儀式行事の類で、個人に関わる具体的かつ特殊な用件には及ばない。各月往状の冒頭に月の異名を二語ずつ掲げる。底本は、最古の寛永6年板と同様に本文を大字・6行・ほとんど付訓で記す。なお、末尾に「此往来者、菅丞相之御作也…」と記し、本往来を菅原道真作と仮託するが、実際のところは作者不明である。 【備考】現在確認されている最古の古写本は天正(1573~92)頃書。古刊本は寛永6年板([京都]安田弥吉板)を最古として正保4年(1647)・万治2年(1659)・寛文10年(1670)と版を重ね、江戸後期には、享和3年(1803)刊『菅家文章』や天保4年(1833)刊『〈菅丞相御製作〉十二月往来』等の異板が登場したり、文政6年(1823)刊『〈頭書絵抄・菅家〉十二月往来』や天保7年(1836)刊『菅家文章経典余師(〈経典余師〉菅家文章)』等の注釈本・絵抄本が作られるほどに普及した。なお、本書の改題本に江戸前期書『奉謝帖』がある。(小泉吉永 記)
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