解題・説明
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【判型】大本3巻3冊。 【作者】置散子作・書。松葉軒跋。 【年代等】延宝6年(1678)初刊。江戸前期再刊。刊行者不明。 【概要】分類「往来物(社会科・女子用)」。異称『〈御家〉四季仮名往来』『〈御家〉仮名往来』『〈再板〉仮名往来』。延宝期に活躍した書道家・置散子の代表的な手本。幼少の「おさな」と「綾小路の局」との間で交わす各月往復2通、1年12カ月24通の女文で、年中行事(元三・門松・若菜・子の日の遊び・左義長など1月の行事から、御髪上げ・節分など12月の行事まで)の内容・由来・意義を綴ったもの。「初春の御ことぶきいく千代よろづ代までもつきし候まじくといわゐ入まいらせ候…」(上巻冒頭)のように綴る本文を大字・5行・所々付訓の並べ書きで記す。女子消息文の書き方と年中行事故実等の並行学習をねらった往来で、おさなが往状で問い、綾小路の局が返状で答えるという問答形式は、『女庭訓』にならったものと思われる。なお、本書は筆跡・内容などの点から『女学仮名往来』との関連が深いと考えられる。 【備考】底本は裏表紙見返の刊記部分が欠けているため刊年および板元不明(延宝6年板または延宝7年板と思われる)。跋文も「…令開判」で切れており、次頁に続く「者也。 置散子門弟松葉軒書 延宝○年…」の記載がない。なお、本往来と同内容の写本に天保11年(1840)書『故事往来』(上条景弘書。内閣文庫蔵『墨海山筆』23巻所収)と題したものがある。(小泉吉永 記)
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