解題・説明
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【判型】大本3巻3冊。 【作者】丹峯和尚作。 【年代等】室町中期、明応~永正(1492~1520)頃作。慶安元年(1648)5月刊。[京都]敦賀屋久兵衛板。 【概要】分類「往来物(古往来)」。『庭訓往来』と同様の形式で、全15条30通の消息文例に4000語以上もの膨大な単語集団を盛り込んだ古往来。上巻冒頭は「鳳暦開端竜躔易次。三正之嘉慶雖而今事旧候、旁以珍重々々…」と起筆して新年の祝儀や来月看花の行幸に伴い供奉の朝臣の位次を述べ、その見物に誘うという第1条往状で、「位次」と題した単語集団を挟み、その返状で「氏姓」「名乗」の単語集団を列記するように、第1条(看花・花苑)、第2条(絵画)、第3条(館経営)、第4条(饗応)、第5条(音楽・薬方*以上上巻)、第6条(遊戯・教養)、第7条(盂蘭盆会)、第8条(農作)、第9条(教養・学問)、第10条(教養)、第11条(連歌・文具)、第12条(館造作・家具什器*以上中巻)、第13条(仏事・仏具)、第14条(旅行・諸国)、第15条(上洛・須弥四州*以上下巻)までの15条往復30通を、独等の近衛流書体の大字・7行・所々付訓で記す。その中に、位次、氏姓、名乗、画具、料足、茶、紙、珍宝、屋具・屋体・堂塔、番匠之具、草花・美木、走獣、羹・前点、茶子・菓子、調菜方・海草・野菜、楽器・十二律・楽、薬種(以上上巻)、料理方・魚、鳥、神具、俗服、物具(武具等)、五穀、酒・酒器、虫、能書、木、草、墨、硯、筆、家具・器財、人倫(以上中巻)、飾具・物具、道具(法衣等)、天象・地類、扶桑六十八州の大略・授領(五畿七道別の諸国・郡名)、洛の条理縦横小路、須弥四州(須弥山を取り巻く九山八海の最果てにある四大陸*以上下巻)の単語集団を盛り込む。これらの語彙を整理すると、神祇・仏教293語、漢学・文学・教養329語、地名・人倫・職分・職業1683語、衣食住・武具1335語、自然374語、雑91語の合計4105語となる。 【備考】本書の最古本は天正4年(1576)本(東京大学国語研究室蔵)で、楷書に近い行書・大字・7行・付訓で記し、第1状往状より第8状返状までを収める。(小泉吉永 記)
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