解題・説明
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【判型】大本1冊。 【作者】長友松軒(玄海堂・東栖散士)書。 【年代等】江戸中期刊。[大阪]塩屋平助ほか板。 【概要】分類「往来物(消息科)」。例えば冒頭の1通を「青陽之御吉瑞申納候(せいようのごきちずいもうしおさめそうろう)。鴬声奏林、人心覚新(おうせいはやしにそうし、じんしんあらたまることをおぼゆ)。誠上下之礼儀、古今之式、更無私珍重候(まことにじょうげのれいぎ、ここんのしき、さらにわたくしなく、ちんちょうにそうろう)。猶、永日可催勧盃之興候也(なおえいじつ、かんぱいのきょうをもよすべくそうろうなり)」と記すように、ほぼ見開き2頁に収まる簡潔な短文で綴った四季折々の手紙など34通を認めた初歩的な書道手本。前半に四季用文章を載せ、続いて入木道修行などの雑用文章、また、婚礼・元服・安産などの祝儀に伴う書状や武家公用向け文書などを掲げる。本文を大字・3行・所々付訓(前半は多く、後半は少ない)で記す。後半からは天地を狭めた横文用の書き方も示す。 【備考】書名は書き題簽によるが原題か否かは不明である。ただし、本書巻末広告中に『歳時文章』(四時草花風月の文)の書名が見え、また『大阪出版書籍目録』に宝暦8年(1758)頃刊の『歳時文集』([大阪]本屋新右衛門ほか板)の書名があるため、このいずれかと同じかもしれない。なお、長友松軒の作品については、363「商売用字尽」の解題を参照。(小泉吉永 記)
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