解題・説明
|
【判型】大本1冊。 【作者】二生堂作。清水橘井堂書。 【年代等】天明2年(1782)3月書・刊。[京都]林伊兵衛ほか板。 【概要】分類「往来物(教訓科)」。天明元年刊『こころ得哥』(二生堂作、清水橘井堂他書)と同趣向の往来物。「○○の心持ち」という題で、日常生活上の諸教訓を五七五七七の教訓歌に詠んだもの。父の心持ち、子の心持ち、母の心持ち、母に対する子の心持ち、舅の心持ち、嫁の心持ち、姑の心持ち、姑に対する嫁の心持ち、娘に対する親の心持ちなど56題56首を収録する。例えば冒頭「父のこころ持」には、「子は常に親を見習ふものなれは、身の行儀こそ大事なりけれ」、「子の心持」には「何もかも親より出たる我なれは、竪にも横にもおや次第なり」の教訓歌を掲げる。人倫や行住坐臥の生活教訓、卑近な処世訓など、家内各人の心得を説く。末尾数首は「駕に乗た時の心持」「橋を渡時の心持」「舟に乗たときの心持」「茶店に腰打かけての心持」「施行するときの心持」など一定の状況における心得を説き、最後は「大黒を福神と称し奉る其福といふも外ならず…」と端作り風の文言に続けて「正直に家業を大事・慈悲・堪忍、是ぞ宝を打出の小づち」の1首で締め括る。以上の本文を大字・5行・所々付訓で記す。(小泉吉永 記)
|