解題・説明
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【判型】半紙本1冊。 【作者】向晦亭等琳(河原風来・河原英吉・雪山・河丈紀・岡丈紀・琴亭文彦)作・序・画。 【年代等】嘉永4年(1851)5月序・刊記。慶応3年(1867)頃刊。刊行者不明。 【概要】分類「往来物(教訓科)・戯文」。湯屋の日常業務に必要な知識や心得を『実語教』にならって書き記した往来。「薪高故不焚多分(まきたかきがゆえにたんとたかず)、以有古木薪為貴(ふるぎあるをもってたっとしとす)…」のように、『実語教』の文言を模倣した漢字6字1句、全156句の文章を大字・5行(1行2句)・付訓で記す。湯屋という職業や湯株が恒久的なことを始め、湯屋商売の秘訣、湯屋仲間との駆け引き、銭湯内でのトラブルや対策、江戸湯屋仲間の成立と解散などについて述べる。巻頭に光明皇后にまつわる「洗湯之由来」を、巻末に湯屋仲間の沿革や組織・規則・公文書記録等の記事(湯屋十組割附并男女風呂員数・中興大行事順番・湯屋万年暦・店法度書之事・湯屋預り申証文之事・薪買出し早割附等々)を付す。なお、本書巻末「吉例三宝の日を知る事」に「嘉永四年」の記載があるため、これを刊行年代と誤る場合が多いが、本文中最終丁(第38丁)裏に「慶応三卯年二月廿日」の記載があるため、あきらかに同年以降の刊行である。 【備考】底本は本文末尾が第34丁までで、第35~38丁が落丁であるため、「慶応三卯年二月廿日」の記載を確認できない。(小泉吉永 記)
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