解題・説明
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【判型】中本1冊。 【作者】喜蛙作。 【年代等】明治元年(1868)頃作・刊。刊行者不明。 【概要】分類「往来物(教訓科)・戯文」。底本は中本全3丁の小冊子だが、大判1枚刷りでも出版されている。『実語教』に似せて戊辰戦争の状況を綴った短文の往来物・戯文で、必ずしも5字1句の形式を踏まずに、「山早故不成(やまはやきがゆえに、なることならず)、疑悪知只独(ぎあくがしれて、たったひとり)、人多連為立(ひとおおくつれて、たつことなかれ)、都立為下行(みやこをたって、しもゆきとす)、時是正月三日(ときはこれ、しょうがつみっか)、身方集伏見上愷(みかたをあつめ、ふしみにときをあげる)」で始まるように、『実語教』の文言を採り入れながら、慶応4年1月3日の鳥羽・伏見の戦い以後の経緯を、薩長側に立って朝敵を風刺し、最後を「故末代之禁(かるがゆえに、まつだいのいましめ)、松此後可案(まず、こののちをあんずるべし)、是朝敵制札(これ、ちょうてきのせいさつ)、身終勿謀悪兀(みおわっても、ぼうあくきゆることなかれ)」と締め括る。このように『実語教』と同じ全96句の本文を大字・5行(1行3句)・付訓で記す。なお首題には「ふつこうきやう(不都合教)」とルビを振る。 【備考】大判の一枚刷(小泉・東京学芸大学蔵)でも刊行されている。(小泉吉永 記)
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