解題・説明
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【判型】大本1冊。 【作者】小林孝義作か。 【年代等】万延元年(1860)作・書。 【概要】分類「往来物(地理科)」。「抑、山陽道、備前・備中・備後・美作一国ニ而、是を吉備之国と云…」で始まり「…他国ニ至而、産列之事有問人者答ニ茂可成而已終、仍而如件」と結ぶ文章(異本あり)で、備中国の国名の由来や領内各地の名所旧跡、神社仏閣の景観・縁起や主要産物などを紹介した往来。初めに「吉備国」の範囲や天武天皇以降の国名の変遷について簡単に述べ、続いて、国内の大きさや東西南北の境、石高、「一八神社」の名称並びに所在、備中国の歴史的人物「七名人」に触れ、当国が五穀豊穣・商売繁盛の地で人々の気質が優れていることを説く。また、兼ねて相談の通り桜の時分に巡覧するという設定で、各地の名所・古跡の故実や、村名・名物・産業等について紹介する。そして最後に、山野村の名湯「鷹の湯」で旅の疲れを癒す旨、また、当国の名所・名物を童子はよく覚えるべき旨などを述べる。 【備考】『備中往来』には、上記の三次本のほか、「夫、往古は備前・備中・備後・美作一国にして、是を吉備の国と言…」で始まり「…古戦場・名高人々数多有といへとも爰に略侍る」と結ぶ、やや短文の異本(玉川大学本)がある。(小泉吉永 記)
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