解題・説明
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【判型】半紙本1冊。 【作者】不明。 【年代等】江戸中期(延享(1744~48)頃)刊。[大阪]糸屋市兵衛板か。 【概要】分類「往来物(歴史科)」。異称『朝日奈状』『朝比奈状』。木曽義仲の子息・朝日奈三郎義秀から鎌倉諸将にあてた書状形式で、彼の生涯を記した古状単編型往来。「驚破(すわ)朝比奈社(こそ)来たれ…」「拙者九尺之金樶棒を振て、当るを幸い、打伏せ薙倒し…」のようないわゆる講談調の筆致で詳しく戦闘状況を描くが、全体として朝日奈三郎の生涯を点描する点では、後世の伝記型往来の先駆とも見なし得る。本文の所々割注を施す。冒頭1丁半に簡単な義仲・巴の伝、本文に半丁おきに挿絵と解説文を置くほか、頭書に男女僧俗の命名の参考に供する名頭字を曽我兄弟の物語にして読み込んだ「名頭字曽我状」(『曽我状』とは別内容)を収める。 【備考】伝本が極めて稀で、全国に数点のみ。なお、同体裁の往来物が江戸中期に[大阪]糸屋市兵衛が数種刊行されているため、本書も糸屋市兵衛板と考えられる。(小泉吉永 記)
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