解題・説明
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【判型】中本1冊。 【作者】清水玄叔(烏涯散人)作。高井蘭山(哂我・思明・伴寛・三遷)校。滕耕徳書。葛飾北馬(有坂北馬・光隆・五郎八・蹄斎北馬・駿々斎)画。 【年代等】享和3年(1803)4月書・初刊。安政頃再刊。[江戸]上州屋政次郎板。 【概要】分類「往来物(地理科)」。「此秋上野国に名立る榛名山江参詣いたし候…」で始まるように、上野国榛名山周辺を旅行した者が綴る紀行文風に同地の名所旧跡・神社仏閣その他の地理や縁起・由来等を書き記した往来。本文を大字・5行・付訓で記す。その冒頭部で「中山道高崎駅迄は『妙義詣』の文に譲て爰に略しぬ」とあることから、本書は寛政6年(1794)刊『上州妙義詣』の続編として編まれたことが明らかである(この両書と天保11年(1840)作『赤城詣』の3部は上州地方の三大往来とされる)。そのため、本書は高崎城下に一宿する場面から始まり、並榎村天竜寺・本郷村榛名本戸明神・室田村長年禅寺を経て榛名山に至る順路に添って、秋の風景描写を織り込みながら参詣路のあらましを紹介する。巻頭に「榛名山略図」、頭書に「榛名山名所案内記」を収める。 【備考】本書初板本の原題簽は「〈享和新撰〉上州榛名詣」で、[江戸]花屋久治郎(星運堂)板。底本の板元、上州屋政次郎は嘉永~文久頃に往来物をいくつか刊行している。(小泉吉永 記)
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