解題・説明
|
【判型】中本1冊。 【作者】勝間竜水作か。滕耕徳(長雄耕徳)書。 【年代等】寛政(1789~1801)頃初刊([江戸]花屋久治郎板)。江戸後期再刊。[江戸]鶴屋喜右衛門板。 【概要】分類「往来物(地理科)」。「連日快晴融和之時節、実(げ)にたれ籠て春の行衛しらぬも心憂、今度、江の島参詣存立候…」で始まり、「…鎌倉六浦(むつら)、金沢(かねざわ)の巡覧、追日御同伴可申合候。不備」と結ぶ1通の手紙文で、江ノ島参詣路沿道の名所旧跡や江ノ島の景勝などを紹介した往来。まず、芝神明宮・増上寺・泉岳寺・高輪・東禅寺・御殿山・東海寺・海晏寺など江戸府内の寺社を中心に縁起・由来・景趣などを記し、さらに鈴の森八幡宮・大森・羽田村弁財天・矢口の渡し・川崎宿・大師河原・子安観音、以下、戸塚・鎌倉までの名所を前半部の記述にあて、後半に浄光寺や江ノ島・与願寺の開基・沿革・縁起・結構・宝物等をやや詳しく記す。本文を大字・5行・付訓で記す。巻頭に「江島金亀山与願寺之図」と「別当巌本院宝物一覧」、頭書(冒頭1丁半)に「七里ヶ浜」「稲村ヶ崎」「袖の浦」の記事を載せる。 【備考】底本は改装本だが、本来の外題は「江島詣文章」である。また、本書には刊年を明記しないが、初板本と思われる花屋板の題簽角書に「寛政新編」とある。(小泉吉永 記)
|