解題・説明
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【判型】中本1冊。 【作者】円亭九狐作。寿高画。 【年代等】享和元年(1801)頃刊。[江戸]花屋久治郎(星運堂)板。 【概要】分類「往来物(地理科)」。「去頃(さんぬるころ)、御物語申候身延詣之事、折節、花も咲合候へば、今月中旬頃出立可然候…」で始まる1通の手紙文で、江戸麹町より府中六所明神・八王子・大月・笛吹川・甲府等を経て身延山に至る沿道の名所旧跡・神社仏閣と、身延山・久遠寺の景趣・縁起・結構などを記した往来。末尾は「帰路(かえりみち)は大野山本遠寺(ほんおんじ)より駿河へ還り帰国に趣可申。猶、終道(みちすがら)御咄可申候。穴賢々々」と結ぶ。本文を大字・5行・付訓で記す。巻頭に「身延山略絵図」、頭書に「高祖御一代略記」を掲げる。 【備考】底本は初板本。本書は伝本が少ない割に題簽題の異称が目立ち、『〈新撰〉甲州身延詣』『〈改正〉身延往来』(後者は口絵・頭書を一切割愛)とするものがある。また、文政4年求板本の巻末には、日本橋から身延までの略地図を掲げる。(小泉吉永 記)
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