解題・説明
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【判型】大本2巻2冊。 【作者】不明。 【年代等】天和3年(1683)4月以降刊。[江戸]表紙屋七右衛門板。 【概要】分類「往来物(社会科)」。異称『御式目』。か。現存唯一の三次本は下巻のみ。江戸町奉行より頒布された町触を認めた手本で、下巻には、(1)天和2年5月頒布(忠孝の奨励など生活の心構えについて諭した「一、忠孝をはげまし、夫婦・兄弟・諸親類にむつまじく…」で始まる7カ条)、(2)天和2年5月頒布(御朱印伝馬など交通運輸に関して定めた「御朱印伝馬人足之員数…」で始まる6カ条)、(3)天和2年5月頒布(「幾利志丹宗門、累年御制禁たり…」で始まるキリシタン禁制1カ条)、(4)天和2年5月頒布(「毒薬并にせ薬種売買之義、弥堅制禁之…」で始まる不法な商取引に関する7カ条)、(5)天和2年5月頒布(「米・大豆高値たるゆへ従江戸品川へ駄賃銭…」で始まる各種駄賃規制1カ条)、(6)天和2年5月頒布(「一、火事令出来者、役人并免許之輩之外不可馳参…」で始まる出火時対応等3カ条)、(7)天和3年4月頒布(「一、祭礼・法事弥軽可執行之…」で始まる祭礼諸事に関する5カ条)の7法令を収録する。本文を大字・6行・所々付訓で記す。 【備考】本館所蔵は現存唯一で上巻未発見。下巻の内容は、天和3年刊『〈武家〉天和御式目』下巻とほぼ同じだが、上記(1)~(7)のうち最後の(7)を増補した点が異なり、それが外題角書の「増補」の所以である。あるいは上巻にも若干の増補があったと考えられる。(小泉吉永 記)
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