東京都現代美術館が所蔵する「柳瀬正夢関連資料」は、美術家・柳瀬正夢(1900~1945)による自筆のノートやスケッチブックなどを中心とした資料です。
1980年代に柳瀬正夢の遺族から、東京都美術館美術図書室に寄贈され、1995年の東京都現代美術館の開館とともに、同美術館の美術図書室に所蔵が移管されました。
現在は、同図書室の貴重書コレクション「特別文庫」のひとつである「柳瀬文庫」の一部として保存されています。
1900年(明治33年)に愛媛県で生まれ、10代の頃より美術や文学の分野で才能を開花させました。未来派、三科、マヴォなど戦前の新興美術運動やプロレタリア芸術運動に参加するだけでなく、図書や雑誌の装丁、デザイン、文芸、漫画など多岐にわたる分野で活躍しましたが、1945年(昭和20年)に空襲により東京で死去しました。
柳瀬自身が記した日記および創作のためのノート類。美術を志した少年時代の心境、前衛芸術家・村山知義などの同時代の芸術家やプロレタリア作家たちとの交流、関東大震災の惨状、満州滞在時に見聞きした現地の風俗などが綴られており、日本美術史だけでなく社会風俗史においても重要な資料といえます。
画家としての柳瀬の活動は、油彩画、雑誌の挿絵や新聞の風刺画、こども向け漫画など多岐に渡っています。柳瀬が使用したスケッチブックには、それらの作品の下絵と思われるスケッチが数多く残されています。また市井の人々の服装や、関東大震災後の東京各所を描いたスケッチなどは、記録資料としても高く評価されています。
柳瀬は、藤森成吉の小説『何が彼女をそうさせたか?』や、雑誌『戦旗』などの装丁でも知られています。ブックデザイナーとしての柳瀬の側面がうかがえる資料です。
柳瀬自身が執筆した未発表の小説や論文、俳句、短歌などの原稿のほかに、友人であった画家・村山槐多による小説の原稿などが含まれています。
・冊子体の資料については、資料の状態を再現するために、方向を統一して見開きで表示している。そのため、表紙と裏表紙の両面から記載がはじまる資料については、文字や図の天地が逆に表示されることがある。
・未記載部分が多い資料については、未記載部分は表示せず、直前のページに「以降、〇〇ページ記載なし」と注記している。
・記載部分に訂正紙やトレス紙などが重ねられている場合は、重ねた状態とはずした状態の2通り表示している。
・冊子体資料は原則として表紙側から順番に表示するが、どちらが表紙か判別しがたい場合や、表紙とそれ以外の部分が天地逆になっている場合などは、東京都現代美術館美術図書室の基準によって表示順を決定した。
・一枚ものの資料については、記載がある面のみ表示している。ただし原稿用紙など印刷された紙の裏面に記載がある場合は、印刷面も表示している。
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